「かわいい」と言われたときの最善策は?

 「もちろん、本心から言うこともありますが、女性は褒めることによって『嫉妬しない、相手のよいところを認める、性格のよい人』を演じている場合があります。中には『他人を褒められる自分』をアピールしたいだけで、実は褒めている対象にはほとんど興味がないケースもあります」(水島さん)

 ただ、そうなると言われた側は受け答えに困ります。この「かわいい」は本心なのか、それともお世辞なのか、毎回勘繰ってしまうのも悲しいですよね。

 「厄介なのは、かわいいと言われたときに『うん、そうでしょ』と言うと『自分がイケてると勘違いしている人』、『ううん、そんなことないよ』と否定すると『ネガティブな人』と相手に取られかねないことです。もし、かわいいと言われたら、『そう言ってくれて、ありがとう』と単純にお礼を言うだけでよいと思いますよ」(水島さん)

 また、自分が「かわいい」と褒めるのが苦手なら、無理に使わないほうが賢明だそうです。

褒めている対象にはほとんど興味がないケースも イラスト/六角橋ミカ
褒めている対象にはほとんど興味がないケースも イラスト/六角橋ミカ

会話の潤滑油も使いすぎに要注意

 「雑談のつなぎに『かわいい』を使ったとき、相手の反応が良過ぎても、悪過ぎても話が続かずに困ってしまいます。そんなときはお天気や共通の知人など、違う話題を振りましょう。お天気の話題は365日困ることがありませんから、オススメです(笑)また、雑談が苦手だと自覚している人は、『役割を背負う』と話しやすくなるので、プライベートでも仕事上の立場のまま話をしてみては? もしくは、3人以上で会話するのもよいですね。3人いれば、聞き役に徹することができるので、『何か話さなくては』というプレッシャーから解放されます」

 確かに読者アンケートでも、「座持ちが悪かったから、何かしら会話の糸口を探して褒めてみたものの二の句が継げず、逆に困ってしまいました。自分自身が褒められるのが苦手なのに、褒めトークで話が広がるわけがなかった」、「ママ友同士、話題づくりのためについ言ってしまった。あとは、相手が褒められると喜ぶので、なんとなくご機嫌取りになってしまった。女王様気取りの人だったので、ますます相手が高飛車になるだけで、言うべきではなかったと思う」と失敗していた人が見当たりました。

 「かわいい」は女性同士の会話の潤滑油ですが、使い過ぎはかえって逆効果。頼り過ぎないコミュニケーションを心掛けるのが得策といえそうです。

取材・文/三浦香代子 イラスト/六角橋ミカ

この人に聞きました
水島広子
水島広子(みずしま・ひろこ)さん
精神科医、元衆議院議員。慶應義塾大学医学部精神神経科勤務を経て、衆議院議員として児童虐待防止法の抜本改正などに取り組む。主な著書に10万部を超えるヒットとなった「女子の人間関係」(サンクチュアリ出版)、「女に生まれてよかった。と心から思える本」(朝日新聞出版)などがある。