「夜遅い時間の食事は避けたほうがよい」――もはや定説になっていて、誰でも聞いたことがあるでしょう。しかしその欲求が抑えられないことも多々あります。そこで、食べ方のマナーで3万人以上の人生を変えてきたフードプロデューサーの小倉朋子さんに、夜における食事について教えていただきました。

 人気モデルが「美の秘訣は?」と聞かれて「寝る前の3時間は何も口に入れません」と語っていたり、胃腸の専門医が「夜遅く食べると体に負担がかかる」と提唱していたりするのをよく目にします。

 それでも、夜遅くに食べてしまう、その欲求が抑えられない、という働く女性はいます。避けることが難しい場合もあります。

 でも、ほんのちょっとの行動で、その欲求を消すことができます。

許し過ぎる心が「夜遅く食べる」につながってしまう

 残業でついつい夕飯を食べずに仕事してしまった。もう時刻は夜9時を回ってる。会社を出ると、おいしそうなパスタやピッツァ、カレーなどのメニューが店頭から目に飛び込んでくる。どうしても、食べたいという欲求が……。

夜の時間帯は食べ物がおいしく見えるものです (C)PIXTA
夜の時間帯は食べ物がおいしく見えるものです (C)PIXTA

 この状況に陥る理由は二つです。一つは、夜遅い時間は食べ物がいっそうおいしそうに見えるから。太りそうな食べ物ほど、いっそう魅力的に映るのです。

 そして「こんな遅くに食べない方がいいに決まってる、やめなさい」と言い聞かせても、「いいよ、食べちゃいなよ」と勧めてくるもう一人の声も聞こえてくる。そして、後者のほうが強い力を持ちがちなのです。

 実際、深夜になればなるほど人間の判断力は鈍くなるといわれています。例えばテレビショッピング。夜中になるほど売上が高いのは、なぜか……。理由をご存じの方も多いでしょうが、その心理が、食欲にもつながっているのです。

 もう一つは「夜中の食事が悪い」という「実感がない」から、です。「今までずっと元気だから大丈夫」「多少太ってきたけれど、まあ許せる範囲だし」など、多忙な今の環境を変えてまで食事時間を早くしようとは思えない、という状況もあるのです。