信頼を勝ち取る「ポポネポの法則」で伝える
伝わらないことをもどかしく思っている人は、「言うべき情報を言っていない」「言わなくていい情報を盛り込んでいる」場合が多いようです。
話の中で突然新たな登場人物が出てきたり、昼間に起こったことだと聞いていたら夜の話だったり……。必須の基本情報をきちんと伝えて切れていないから、聞いている側は状況がよく分からない。不要な情報を入れたばかりに、翻弄されてイメージできなくなる。聞いていて不安になる話し方って、日常生活の中でもあるのではないでしょうか。
たどたどしくてもいいんですが、さっき起きた話をするにしても、「登場人物」「場所」「時間」など、相手に状況をイメージしてもらうための基本情報は確実に伝えないといけません。
知っておいてほしい情報をきちんと伝えるのは、話し方の基本中の基本。今回はさらに、相手の信頼を勝ち取る、とっておきの法則を一つお伝えしましょう。
「ポポネポの法則」です。
これは「ポジティブ・ポジティブ・ネガティブ・ポジティブ」の頭文字の略。「いい話・いい話・悪い話・いい話」の順で話すというものです。通信販売業者や占い師が使うテクニックでもあり、聞く人は不思議と相手を信用してしまうのです。例えば、こんな具合。
(ポ)「このデジカメは○万画素!」
(ポ)「しかもこんなにコンパクト!」
(ネ)「ただし一般の方が使うには問題が……実は機能があり過ぎるんです」
(ポ)「なのに、お値段がすごい」
こんなトーク、聞き覚えがありませんか。頭からネガティブな話をされたら聞く人は警戒しますし、話の最後に言われたら嫌な気分を引きずってしまうでしょう。とはいえ、すべてポジティブな話だと「コイツ、うさん臭いな……」という疑念が生まれます。
「そんなこと言っていいの?」と相手が思うような情報をあえて挟むことで、「あなたのためにデメリットも正直に話しています」との発信につながります。そうすることで、聞き手は話し手を自分の味方のように受け止めるのだそうです。
僕も、手相の鑑定結果を伝えるときは、たいていこの法則に従っています。手相鑑定する人はいいことを言ってほしいから手を見せているわけで、そこでいきなりネガティブなことを言われたら聞く耳を持ってくれません。こちら側に心を開いてもらって楽しんでもらうためのテクニックともいえます。
いかがでしたか。ちょっとした小ばなしを誰かに聞かせたい気持ちになってきました(笑)? 次回も引き続き、話し方を磨くテクニックをお伝えしていきます!
文/平山ゆりの 写真/小野さやか、PIXTA