20代は「何をしている人」、30代は「何ができる人」を意識する
冷静に自分を見渡せるようになると、「誰のために、何のために、この仕事をしているのか」といった「信念」のようなものもはっきりしてきます。
難しく考えなくていいんです。今までの人生の中で、喜びや充実感を抱いたこと、「このためなら多少無理しても頑張れる」という経験って誰しもありますよね。きっとその延長に信念はあるし、それを明確にすることができれば、迷ったり、悩んだりしたときにも原点に立ち返ることができます。
僕は、かつてはお笑いコンビを組んで漫才をしていました。もともとお笑いをやりたかったわけで、手相の仕事をしているとふと「何をしているんだろう……」という気持ちになることもあります。そんなとき、「どうして手相なんだっけ?」→「人を楽しませたいから!」という根っこに返ることで、やる気が湧いてきます。手相なら、僕は人を楽しませることができる。手相は手段であり、信念(目的)が合っていればいいと思うんですよね。
「やりたい仕事が見つからない」「やりたい仕事に就けない」と迷う人は、信念で判断すると、選択肢の幅を広げられると思います。既に今就いている仕事で実現する方法も、見つかるかもしれません。そうやって自らの方向性を細かく定めていき、人は年齢を重ねることで何者かになっていくのだと思います。
30代になると、仕事観を変える必要がある
20代は、人から「何をしている人ですか?」と聞かれて「お笑いをやっています」と答えると「そうなんだ、頑張ってね」と応援してもらえます。ところが30歳を過ぎると、「お笑いやってます」だけでは認めてもらえません。「あなたの名前は見かけないけれど、この先どうするの?」と。「何をしている」だけでなく、「何ができる」という確実なものが伴わないと「この人大丈夫?」とけげんに思われてしまうんです。30代以降は、自分のやりたい! だけでなく、自分はいかに役立てるかを考える必要があるんだなと実感しています。
僕は今、40代に入ったところ。こんな偉そうなことを言っていますが、まだまだです。幸い、「手相の島田」「都市伝説の島田」というように認識してもらえるようになりましたが、精進の日々。読者の皆さんも「○○の人」とキーワードを1つ持ち、そこから自分のキーワードを増やすようなイメージで、自分のことをもっと深堀りしてみてくださいね。「何をしている」ではなく、「何ができる」を積み重ねていくことで、仕事の道は間違いなく開けていきますよ!
聞き手・文/平山ゆりの 写真/小野さやか