今年8月に、「働き方改革」担当大臣というポストが、内閣に新設されました。これをきっかけに、これからの働き方が更にブラッシュアップされるのではないかと期待されています。

 では、望ましい働き方ってどんな働き方なんでしょう?

あなたの望む働き方はどんな働き方?(C)PIXTA
あなたの望む働き方はどんな働き方?(C)PIXTA

 安定した生活を送りたくて、正規雇用を選ぶ人、正規雇用だったもののライフステージの変化などを考慮して非正規雇用を選ぶ人、正規雇用だったものの夢を叶えるためにあえてフリーランスを選ぶ人…。望ましい働き方は、人によってさまざまです。私も、自分の会社を含めた、3つの会社を行き来する働き方をするなど、三足のわらじ生活を送っています。

 働き方の悩みといえば、この20年間で非正規雇用が増えたこともあり、正規・非正規という雇用システムに関連することが多いでしょう。では、なぜ非正規雇用は増えたのでしょうか? しかも、この非正規雇用の増加は日本だけでなく、米国、韓国、イギリス……と多くの国に起きていることなんです。

 その背景を読み解くと、今後増えるだろう働き方のヒントが見えてきます。ずばり、「フリーランス型正社員」という新しい働き方が増えるのではないかと私は考えています。

この20年で「働き方」に何が起きた?

 非正規雇用といっても、正規雇用者より労働時間が短い人、契約年数が非常に短い人、更には正社員以外のパート・アルバイト全ての人に対しての呼称…といろいろな定義があります。いずれも、総務省が発表する「労働力調査」統計をみると、増加傾向にあります。やはり終身雇用に近いような正社員と言われる人の割合が減少していることは間違いないようです。

 非正規雇用者が増えた理由としてよく言われているのが、「女性の社会進出が増えて現状では家庭と両立するのが大変だから…」という理由。でも、下記の論文で、それが大きな理由といえないことがわかりました。

■「非正規労働者はなぜ増えたか」 浅野 博勝氏、伊藤 高弘氏、川口 大司氏(2011)

 この論文では、1986 年から 2008年のデータを用いて、非正規雇用が増えた要因を分析しています。実は、上述したような女性の社会進出は、非正規雇用者が増えた要因として約4分の1しか説明できないことが示されているのです。

 では、残りの4分の3を占める要因はなんでしょうか。

 その要因は2つありました。一つは景気の不確実性(景気が良い悪いを繰り返しやすい)が増したことで、業績の予想を立てにくくなり、それを補うために多くの企業が非正規雇用者を増やしたことです。そして、も一つの要因は、情報技術の導入です。

 PCはもちろん、インターネットの発展によって、正社員として常に会社にいてもらいたい人材へのニーズが薄れてきました。また、こうしたIT技術の導入によって、働き方に柔軟性を持てるようになり、正社員じゃなくても働けるスタイルが増えてきたのです。