選択肢を何個に絞ると人はうまく決断できるのか?
ヒントになるのが、コロンビア大学の社会学者シーナ・アイエンガ―教授の社会実験です。彼女は、アメリカのスーパーマーケットで、26種類のジャムと、6種類のジャムを並べた場合、どちらが売れるかを計測しました。結果は、6種類の売り場のほうが、試食者の売上頻度が高くなりました。ここから博士は、多すぎる選択肢は人間を迷わせ、困惑させる可能性を示しました。
「でも、選択肢が少なすぎるのも納得いかない!」という人もいるかもしれません。では、人が心地よいと感じる選択肢はいくつなのでしょうか。
それは、7 ± 2 (5個~9個の範囲)でした。
シーナ・アイエンガ―博士の研究だけでなく、過去の心理学者たちの研究を見ると、7つぐらいが選択肢として心地いいと示されています。世界には7曜日、7不思議、初7日、7つの習慣……と、「7」にまつわる話が多いですよね。これは、人間の情報処理能力の数とも関係があるようです。
例えば、化粧品を選ぶにしても、口コミやランキングサイトなどを見るとブランドはたくさんあり、選択肢が多すぎて困ってしまいます。その場合は、友人からの情報を集めるにしろ、口コミを確認するにしろ、5~7人くらいの意見を聞くのが、ストレスなく選択できる範囲だというわけです。これから多すぎる選択肢を前に迷ったら、まずは7つに絞り込むのが有効かもしれませんね。
ビジネスの現場では、この考え方はマーケティングや商品開発をする人にとってよい指標となると思います。ウォルマートはこの研究を基に、1店舗あたりの商品数はコンビニより少ないそうです。
最後に、私からおススメしたいのは、選択や判断に迷ったら、その道の専門家に直接会って話を聞くこと。一人で黙々と情報収集しているとき、誰かに聞くとスパッと解決、判断できたという経験ってありませんか? しかもface to faceで「本当に有益な情報だと思ってアドバイスしてくれているのかどうか」を読み取ることもできます。スマホばかり眺めているのではなく、人のつながりを大切にして対話を増やしていきたいですね。
■参考
TIME誌での掲載 http://time.com/3858309/attention-spans-goldfish/
文/崔真淑 写真/PIXTA
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