比較優位の原理で自分の価値は高められる

 比較優位の原理とは、お互いが自分の得意分野に特化することで、お互いにとって最適な結果を導こうとするものです。

 例えば、営業も経理も出来るAさんがいます。しかも美人! 一方で、どっちもAさんにはかなわないBさんがいます。彼女たちが、会社からどちらも同じ分量の営業と経理の仕事を任されました。一人でこなすと、各自で以下の時間が掛かります。

 この場合、AさんがBさんよりもどちらの能力も高い。しかし、比較優位の原理の考え方を活用する場合、BさんがAさんより能力的に劣っていようと、Bさんの得意な(相対的に特異な)ものをやったほうがベターであるという考え方をします

 Bさんは営業も経理もAさんより2倍の時間がかかります。つまりAさんの半分の能力しかないのかもしれません。だから一見、Aさんが全てをした方が効率良さそうに思えますよね。

 でもここで、Bさんだけを見てください。Bさんが会社から任された営業と経理の仕事をこなすのに、相対的に見ると、経理より営業の方が時間がかからない。また、Aさんは、営業と経理を比べると、経理の方が時間がかかりません。そこで、お互いがお互いの中で得意なものに特化してもらいました。すると……

 お互いがお互いの得意分野に特化してもらった結果、AさんとBさんが各自で行った合計時間=240分に対して40分も短縮できたのです。

 「比較優位」の考え方を適用すると、あなたの能力が相対的に高くなくても、自分の中で相対的に得意なことに集中すれば、チームや会社、そして経済全体の効率性は増して、社会に貢献できる経済活動が行われるようになるのです。

 他者との比較をやめて、自分が得意なことにまず集中する。すると周りも助かり、おのずと勝手に評価は上がっていくのは、こうしたプロセスがあるからなのです。まずは、周りに振り回されずに納得できるまで得意なことに専念してみましょう! それが、あなたにとって、巡りめぐって幸せを感じられる一歩につながるのだと思います。

文/崔真淑 写真/PIXTA

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