日本の経済格差は?

 では、日本の経済格差の状況はどうなっているのでしょうか。もちろん経済格差といっても、さまざまな格差があります。

 例えば、男女格差、地方と都市の格差、資産格差……など。ここでは、所得格差(≒給料の金額が、日本全体で見たときにどの程度、人によって格差があるかを見たもの)に焦点を当てて考えてみましょう。

 2016年9月に厚生労働省から「所得再分配調査」という2013年までのデータを対象とした所得格差に関するレポートが発表されました。

 ■2016年「所得再分配調査」(厚生労働省/記事末参照)

 この中のジニ係数(ここではあらゆる税制によって再分配された後の所得格差を対象)という数字が大きいほど所得格差が進み、逆ならば格差が縮小し、所得の受け取り具合が平等化していることを示します。

 そして、結果は……

 なんと、日本は所得格差が縮小していたのです! 2010年の0.4067から、2013年の0.4057へとジニ係数が低下を見せていました。

 一般的には格差社会といわれるだけに、意外な結果です。でも、なぜ所得格差は縮小したのでしょうか。その背景は、さらに意外な結果でした。