(2)ふるさと納税で「税金が安くなる」

 ふるさと納税で税金が安くなることは、返礼品と同じぐらいによく知られていますが、そのしくみはどうなっているのでしょうか。

 「本来納める税金の一部を、自治体に寄付できるふるさと納税を使いたい」という場合は、「寄付金控除」という手続きが必要です。この寄付金控除により、先に寄付した金額分が、後から「税金が安くなる」ことに代わるのです。見方を変えると、ふるさと納税は住民税の前払い制度といえるかもしれません。

寄付金控除で安くなる税金は所得税と住民税

 ふるさと納税の寄付金控除で安くなる税金には2種類あります。 それが、所得税と住民税です。

 1月1日~12月31日の1年間に、2000円を超えるふるさと納税をすると、所得税は、一定の計算式に沿って、住民税は住民税の所得割の2割まで税金が安くなります。

 たとえば、1万円のふるさと納税をすると、2000円を超えた8000円分が所得税と住民税で安くなるので、結果として、寄付の実質自己負担は2000円になるのです。

 また、寄付金控除の使い方にも2種類あります。それが「確定申告」と「ワンストップ特例制度」です。

■確定申告する人は…<確定申告バージョン>
 寄付金控除は、会社の年末調整では申告することができないので、原則は、翌年に所得税の確定申告を行います。確定申告をすると、寄付金控除に応じて安くなった還付金が、後日、自分の口座に振り込まれます。

 住民税は確定申告をモトに決まるので、その年の6月から納める住民税は、ふるさと納税で安くなった税金分を差し引いて納めます。

 個人事業主などで確定申告を行っている人は、ふるさと納税の寄付金控除を加味して所得税を計算するので、減額された所得税を納め、住民税も減額された額を納めます。

■条件を満たす会社員は…<ワンストップ特例制度バージョン>
 ふるさと納税は確定申告が原則ですが、確定申告をしたことがない人にとっては、面倒だったり、不安を感じることでしょう。

 そこで、「1/1~12/31の1年間に、ふるさと納税をした自治体が合計5か所までの、確定申告をしなくても良い会社員」が利用できる特例が「ワンストップ特例制度」です。

 ふるさと納税で寄付をした自治体に、「ワンストップ特例申請書」(寄付金税額控除にかかる申告特例申請書)を、自分で、翌年の1月10日必着にて郵送する必要があります。それにより、翌年の6月から治める(給与天引き)住民税は、ふるさと納税で安くなった税金分が自動的に差し引かれた金額になります。

 なお、確定申告もワンストップ特例制度も、結果として安くなる金額は同じです。ただし、安くなる税金には上限があるので、その計算方法は、次回お伝えしますね。

 3つめのメリットは、「返礼品」です。そもそも、どうして自己負担2000円であんなに「豪華」な返礼品がもらえるのでしょうか。