しかしながら、現在は平均寿命が伸び、医療や介護の負担も所得に応じて増加している時代ですから、私たちが実際に入居するまでの何十年先の環境は、今と大きく変わる可能性があるでしょう。

 もちろん、人間の寿命は計れませんから、もしかしたら10年間、老人ホームで生活することだってあるでしょう。先ほど紹介した二つの表を参考に今の介護事情の目安を持っておくと、「いくらかかるか分からない漠とした不安」に駆られることを防ぐことができます。

親は、どんな老人ホームに入りたいのだろう (C) PIXTA
親は、どんな老人ホームに入りたいのだろう (C) PIXTA

 親にとってまだ介護の問題が差し迫っていなくても、あなたが不安を感じているのなら、お茶でも飲みながら、親自身が老後の準備ができているかどうかを確認してみましょう。親の老後の主役は、親自身なのですから。

 親に老後の生活やお金の話をするときのポイントは下記記事も参考にしてくださいね。

親が元気なうちに確認するべき「もしものとき」のこと
帰省時に確認すべき 実家の親の健康とお金の話

 なお、余談ながら、年を取るとホーム選びの見方も変わります。

 体が元気な私たちが家を選ぶのなら、同じ金額なら少しでも広い家が欲しいと思うのは自然なこと。でも、年を重ねると歩いたり、体を動かしたりすることが大変になってくるため、実は、行動しやすい狭い部屋が人気だとか。

 お金のことに加えて老人ホームの選び方も、親のため、そして、自分のためにも知っておきたいものですね。

文/前野 彩 写真/PIXTA