海外で健康保険証は使えないの?
健康保険には、「海外療養費」という制度があります。ただし、日本で治療を受けたときの金額をもとにして、その7割分の給付しかありません。
簡単にいうと、「海外で盲腸になったとしても、日本での治療なら健康保険が負担するのは医療費40万円の7割分の28万円だから、それしか出せないよ。アメリカで200万円かかったとしても、健康保険が出すのは28万円だから、残りの172万円は自分で払ってね」ということなのです。
これでは、「海外でも日本の健康保険が使えるよ」といっても、実際はあまり頼りになりません。さらに、治療だけで済めばよいのですが、場合によっては、日本に医療搬送ということもあります。こうなると、さらに100万円単位で費用がはねあがってしまうのです。
こうした事態を避けるためにも、海外旅行前には、必ず海外旅行傷害保険に加入しておくことが得策なのです。
1.海外の病院で医療費を全額を支払う
2.海外の病院で「診療内容明細書」と、「医療費の明細書(領収明細書)」を受け取る
3.帰国後、「療養費支給申請書」と海外でもらってきた「診療内容明細書」と「領収明細書」に日本語の翻訳文をつけて、健康保険に提出する
海外旅行保険の治療費はいくらあればいいの?
海外での高額な医療費には、2000~5000万円という金額がかかった例があることを考えると、治療費として最低でも2000万円以上は欲しいですし、医療搬送用の費用が2000万前後かかる事例があることも考えると、治療費は無制限で加入しておくことをおススメします。
金額の設定は、保険会社の商品により異なりますが、治療費を無制限にしても支払う保険料は、1日あたり150~200円程度のアップです。費用対効果を考えると、保険料負担は小さいのではないでしょうか。もしものときに後悔することがないように、検討してみてくださいね。
次回は、海外旅行保険の注意点についてお伝えしますので、お楽しみに。
文/前野彩 写真/PIXTA
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