夫婦別々の姓なのに、夫婦別姓とは違うの?

 事実婚と「夫婦別姓」は異なります。夫婦別姓は、入籍しているから戸籍上の妻の姓は夫の姓なのだけど、仕事や人間関係上は旧姓が便利なため、結婚後も通称として旧姓を使うものです。事実婚はそもそも入籍していないので、そこが大きな違いですね。

(C)PIXTA
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 現在の民法では、婚姻届けを提出するときには、夫婦どちらかの姓を名乗らなければならないのですが、実態として、女性が男性の名字を名乗ることが慣例になっています。そのため、仕事をする女性にとっては実務的な不利益が発生したり、精神的な負担となったりすることもあります。これを改善すべく、昨年最高裁まで争われましたが、結局、夫婦がどちらかの姓を名乗ることは合憲とされました。ただし、国連からも勧告をうけているので、今後は夫婦別姓も法律で認められるようになる可能性はあるかと思います。

事実婚って何がいいの?

 わたしが事実婚をしていることを伝えると、興味を持って話を聞いてくださるのは圧倒的に女性です。そして、結婚や離婚を経験された方の中には、「そんな方法があると知っていたら、最初から事実婚したかった」とか「次は絶対に事実婚!」とおっしゃる方もいます。

 リップサービス的な発言もあるでしょうが、次の「現実的な労力」を経験してこられた人には、事実婚は女性にとっては実務的なメリットはあるようです。

<入籍による手続きの例>
戸籍の届出
住民票の届出
印鑑の作成
銀行や証券会社などの金融機関の氏名変更、キャッシュカードの変更手続き
保険の契約者、被保険者の姓の変更、受取人の変更
パスポートの変更
保有資格の変更
自動車免許など、各種免許の変更
クレジットカードの変更
携帯電話の名義変更
健康保険、厚生年金などの氏名変更
職場や友人などへの結婚報告
社内の氏名変更

 このように、いろんな変更作業があるからこそ、「夫婦でこれから生活していくんだ」という意識を持つ一面もあるでしょう。ただ、これらの変化と作業が一般的には女性に偏っていることからも、夫婦別姓や事実婚は女性の関心が高いのが現状です。「結婚しなきゃいけないの?」「入籍しなきゃいけないの?」と、疑問が出てきたときに考えてみてくださいね。

 ただし、事実婚も万能ではありません。次回は、入籍した法律婚と、入籍しない事実婚、何が同じで何が違うかを詳しく見ていきますね。

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