突然の父の死 母を一人にさせたくなかった

 それでも少しずつ結果も出せるようになって、「担当が草野さんだったから頑張ろうと思えたんです」と言われたときはうれしかったですね。内定を取って入社した後に長文のお礼のメッセージをもらったりすることもあって、仕事にやりがいを感じるようになっていました。不安を抱えながら登録しに来る方々に、少し前の自分を見ているような気持ちになることもありました。そういうときは、私やUZUZのほかの社員でもこういう人がいますよ、〇〇さんも大丈夫ですよって話したりすることで、「ああ、そうなんだ」と心強く思ってくれる方もいました。

 UZUZで働き始めて1年余りが過ぎたころ、予期せぬ出来事が起こりました。タクシーの運転手として働いていた父が、夜勤が終わる直前に交通事故にあって亡くなったのです。

 父の突然の死に、私も母もぼうぜんとなりました。2週間ほど休暇をもらって実家に帰り、その後いったん出社しましたが、なかなか仕事に身が入りません。そんなある日、母が「一人でいるとお父さんのことを思い出しちゃって、さみしいんだよね」って、ぽろっと口にしたんです。笑いながらではありましたが、きっとこれが本音なんだろうなと思いました。私は一人っ子なので、実家には母が一人きりです。会社はとても好きでしたが、これは実家に帰るタイミングだろうと確信したんです。

文/谷口絵美 写真/西田優太

草野有砂(くさの・ありさ)

UZUZディレクター。茨城県出身。新卒時に就職活動を行うことなく大学を卒業。就職のために登録したUZUZに縁あって入社。キャリアカウンセラーを経て、会社初の在宅社員に。現在はUZUZ編集部のディレクター業務を担当している。

 後編記事はこちらへどうぞ ⇒ 父の急死を機に実家へ 社内初の24歳在宅社員の成長