短期でプログラミングを習得できる学習プログラム「TECH::CAMP(テックキャンプ)」を運営するdivの取締役に就任し、25歳の若きリーダーとなった中山紗彩さん。早稲田大学在学中には学生起業家として活躍し、新卒で入社した企業では新規事業の立ち上げを経験するなど、どんな環境にあっても常に高いビジネスマインドを持ち続けています。そんな中山さんの、周囲に流されない、わが道の切り拓き方に迫ります。

チームづくりは、納得いくまでとことん議論

 私はリーダーとして、より良いチームを作ることや、ひとりひとりの可能性を引き出すことにフォーカスしていきたいと考えています。手前味噌ではありますが、弊社で働いているメンバーは本当に皆優秀で、初めてメンバーと接した際には、こうしたチームを作ることができた代表取締役の真子(真子就有さん)を思わず尊敬してしまうほどでした。本当は、前職を辞めた後すぐに起業するつもりだったのですが、「私もこのチームのために全力で頑張りたい!」と、思わず入社を決意してしまうほどの衝撃がありましたね。

div 取締役 中山紗彩さん
div 取締役 中山紗彩さん

 チームとなれば、当然、色々な意見が出てきます。それがいいことである反面、収集がつかなくなりそうなシーンもありますよ。そういうときには、本当に必要なことや、絶対に譲れないことなどを整理するために、とことん議論したり、書き出したりします。納得していないメンバーが一人でもいれば、そのメンバーは本気で仕事に向き合うことはできませんからね。

 チームは個人の集まりですが、たった1人で何かをやるよりも、10人のチームで取り組んだ方が人数の20倍、30倍のアウトプットができると思うんです。世の中にインパクトを与えるサービスや事業を生み出そうとする場合、「いいチーム」が決して欠かせないものだと考えています。

小学3年生で起業家体験キャンプに参加

 私がチームづくりや経営に対して興味を持つきっかけになったのは、小学3年生のときに両親が連れて行ってくれた「起業家体験キャンプ」です。このときの原体験が、その後の私の考え方や行動に大きな影響を与えたのではないかと思っています。キャンプでは、事業計画書を作成し、借入を行い、複数のモノを組み合わせて付加価値のある商品を作ります。販売して、その売上を元に決算し、さらに利益分配まで行う、という内容で、起業や経営について一通りの流れを体験するといったものでした。そこで一番面白味を感じたのが、チームを組んだ子たちとコミュニケーションを取る中で、「この子はキッチリしているから会計に向いているな」「この子は器用でモノを作るのが好きな子だな」といった適正を見てチーム配置することだったと記憶しています。

 小中高一貫の女子校に通っていたのですが、いわゆる“お嬢様学校”だったため、やんちゃだった私はそうした環境にあまり馴染めずにいました。自分の中にあり余っているエネルギーを発散できる場を見つけられなくて、自己葛藤を繰り返していたんです。両親が「起業家体験キャンプ」に連れて行ってくれたのは、そんな私を見るに見かねてのことだったのかもしれません。

 エネルギーがはみ出してしまう分、先生や先輩にはもちろん、同世代にも叱られたり注意されることが多かった子ども時代でしたが、両親だけは「自分が正しいと思ったなら周りの目を気にせずやればいい。それでもし学校に呼び出されたら、ちゃんと謝りに行くから」と言ってくれたことが救いでした。もし、両親にも叱られる日々を過ごしていたら、子どもの頃に自己肯定感を得ることは難しかったのではないかと思います。