付せんの代名詞になっている「ポスト・イット」などの製造・販売を行うスリーエム ジャパンで、広報を担当している鵜飼春菜さん。理系出身で、もともと開発の仕事に携わっていた鵜飼さんが広報を志望した理由とは何だったのでしょう? 社内公募制度を使い、自らのキャリアを構築してきた鵜飼さんにこれまでの軌跡を聞きました。

学部卒で技術部門へ 知識が足りないと焦っていた

 商品の魅力や思いを伝える広報という仕事に転身し、あらためて、言葉が持つ力の大きさを日々感じています。振り返ると学生時代から、「人に力を与える言葉」に強く惹かれていました。映画の中の感動的なセリフの場面だけを何度もリピートしたり、メッセージ性のあるCMのキャッチコピーに心を揺さぶられたり。一番好きなのは、ディズニーランドの創設者、ウォルト・ディズニーの「If you can dream it, you can do it.(夢を追う勇気さえあれば、すべての夢はかなえられる)」という言葉。この言葉が書かれたプレートをデスクの上に飾り、いつも勇気をもらっています

スリーエム ジャパンで、広報を担当している鵜飼春菜さん
ウォルト・ディズニーの名言集と、日本のキャッチコピーを集めた本は、行き詰ったときにヒントをくれる仕事のバイブル。「短いけれど研ぎ澄まされた言葉がたくさん。こんな風に人に勇気を与えられるなんてすごい。私も頑張らなきゃと刺激をもらっています」

 理系の学部を卒業後、スリーエム ジャパン(以下、3M)に入社し、コンシューマ向け製品を開発する技術部門に配属されました。でも、周りはみんな大学院卒の人ばかり。最初はそれがコンプレックスで、「足りないものを補わなくちゃ」と焦りがありました。でも、知識は一朝一夕で身に付くものではありません。上司からも「新しいものを考えよう」とアドバイスされ、「それなら私は職場に“変化の風”を起こす存在になろう」と決意したんです。

新卒1年目 新しい風を起こす存在になる!

 自分ができることは何だろうと考えた結果、大好きなお菓子作りの工程をイメージし、1年目のテーマを「かき混ぜる」に決めました。同期の男性とタッグを組んで、面白いと感じたことやアイデアをどんどん発信し、「若い世代はこんなことを考えている」とアピール。デスクのパーテーションに木目のフィルムを貼って雰囲気を変えるなど、“小さな変化”も起こしました。とにかくたくさんの風を起こすことで、技術をもった先輩たちと、これまでと違った発想や新しいことが生み出せればと考えたんです。

 一人だと気後れしてしまうけれど、同期を巻きこむことで互いに刺激しあいながら進められたのが良かったのだと思います。今振り返るとどれくらい「新しい風」を職場にもたらすことができたかは分かりませんが、幸いにも3Mには「失敗を許容する」「挑戦する人を応援する」という風土があるので、新入社員の自由奔放な行動も温かな目で見てもらえたように思います。

高校時代にポスト・イットノートに出合い、「こんなすごい技術があるなんて!」と感動。モノづくりに興味を持ち、理系の道に進むきっかけになった。ファイルのタグにしたり、コメントを書き込んだりと、用途に応じていろんなポスト・イット製品を使い分け、仕事を効率化