たとえ倒産しても、人材として市場価値が高まる道へ

 インターン先から「うちに就職しないか」と言ってもらったのですが、迷いがありました。その会社は創業からある程度たち、ビジネスモデルがかなり出来上がっていたんです。私は社長から創業期の話を聞いていたので、むしろ会社が生まれる瞬間を見てみたいという気持ちが湧いていました。そんなときに、上司の呂から「会社を辞めて起業する」という話を聞きました。

 当時の彼の印象は、「会社員には向いていない人」。ものすごく成果は出していて優秀ですが、気を使ったり空気を読んだりせずにズケズケものを言うので、経営陣とも現場社員ともよくぶつかっていました。ただ、言っていることはすごく筋が通っているし、本質を見ている。この人と仕事をしたら面白そうだと思い、内定もベンチャーの誘いも断って、呂と一緒に働くことにしました。

 勢いで決めたように見えるかもしれませんが、私にとってはむしろ逆の選択です。スタートアップに行くことが、リスクがゼロでかつ成長できる環境だと判断しました

 事業が成功したらもちろんそこで頑張ればいいし、たとえうまくいかなかったとしても、「大手で3年間同じ製品を売っていました」という人と、「3年間本気でスタートアップをやったけど倒産してしまいました。でも、立ち上げからすべて見てきました」という人とでは、後者のほうが人材としてははるかに市場価値が高いはず。それに「自分が頑張らないと会社がだめになる」という状況が、一番成長できると思いました。

 こうして、起業嫌いだったのが一転、私はスタートアップのシェルフィーで社員第一号になりました。

聞き手・文/谷口絵美 写真/西田優太

鈴木晶子(すずき・しょうこ)

シェルフィー ブランドマネジメント統括。高校時代に1年間のアメリカ留学を経験。横浜国立大学を卒業後、2014年にスタートアップ企業のシェルフィーに社員第一号として新卒入社。3年の間に営業、広報、人事、CSといった会社の主要部門の立ち上げに携わる。現在はブランドマネジメント部のマネージャーとして広報と人事を担当する他、新規事業を行う。趣味はヨガとクロスフィット。