会社員であっても本当にやりたいことをやり続けたい

 入社して最初の数年は、マーケティング部門で商品の開発に携わっていました。チューハイ商品を担当していた時、会社の方針として「もっとビールに集中しよう」と動き出したことがありました。会社はビールにより集中しているので、チューハイ部門の仕事の幅が狭まっていました。そこで私は「社内失業状態」のようになってしまったんです。このとき、人から与えられた仕事しかやっていないと、突然仕事がなくなることだってあり得るのだな、と実感しました。それから、会社員だとしても自分の仕事は自分で取ってこなくてはと考えるようになりました。

 自分で仕事をつくる場合、それがやりたくないことではそもそも長続きしません。そして、やりたいことをやり通すためには、誰かを説得したり、細かい資料を作ったりと、結局やりたくないことにも取り組まないといけない。だからこそ、本当にやりたい仕事でないと、がんばれないんです。

 仕事とプライベートは分けていません。夜遅くまで資料を作っていたとしても、それは自分の楽しみでもあるので苦ではない。休みの日でもビールのことばかり考えています。私よりもビールに詳しい方はたくさんいるので、社内外でたくさんの人と話したり、飲みに行ったりするのが本当に楽しい。ビールと、ビールにまつわる人が大好きですね。

 今後の目標は、「とりあえずビール!」を、「どのビールを飲もうかな」という状況に変えることです。どのお店に行っても多種多様なビールが置いてあって、気分や料理に合わせてビールを選ぶことができる。そんな豊かな世界を実現させたいと思います。

吉野さんが常に持ち歩いているSVBオリジナルの栓抜き。「試作品は瓶で届くので、試飲をするのに欠かせないんです」
吉野さんが常に持ち歩いているSVBオリジナルの栓抜き。「試作品は瓶で届くので、試飲をするのに欠かせないんです」

文/藪内久美子 写真/村田わかな

吉野桜子(よしの・さくらこ)

スプリングバレーブルワリー株式会社 マーケティングマネージャー。2006年、キリンビールに入社。マーケティング部で「キリン アイスプラスビール」「グランドキリン」などの新商品開発に携わる。11年秋より、自ら社長に提案したクラフトビールブランドのプロジェクト「SPRING VALLEY BREWERY(スプリングバレーブルワリー)」の開発をスタート。3年半かけて、横浜・東京に店舗をオープンさせた。さまざまなブルワリーと提携したビアフェスを企画するなど、ビール文化を広めるための取り組みを日々行っている。

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