目的地にたどり着くルートは1つじゃない

 私は、落ち込むことが少ないと思います。何か目標に向かって動いているとき、私のイメージとして近いのは電車の「乗り換え案内」です。検索すると、たいてい目的地に着くためのルートが複数提示されますよね。人生もそれと同じだと思っています。自分の目的地、ゴールにたどり着けさえすればいいんです。ルートはたくさんあるはず。だから、第一志望の大学に落ちてしまったとか、希望の企業に就職できなかったとか、そこで落ち込む必要はないと思っているんです。

 就職活動していた頃に持っていた目的地は、「かっこいいおばちゃんになる」ことでした。歳を取っても、若い人から「一緒に飲みましょう」と声をかけてもらえる人になりたいと考えていたんです。お酒の業界にはそんな人が多そうだな、自分で企画を立てられる人かな、などと考えていってたどり着いたのがキリンビールでした。ただ、あくまでも大切にしていたのは「かっこいいおばちゃんになる」という目的地。キリンビールに入社できなかったら、きっと他のルートを探していたでしょう。

 「目的地にたどり着ければいい」と、あまりクヨクヨせずに考えられるのは、育った環境のおかげかなと思います。私は新宿生まれで、とても景気のいい頃に育ったので、繁華街の中で本当にいろいろな人を見てきました。成功していく人や、対象的にどんどん失敗していく人。そんな人々の姿を見ているうちに、「元気に生きてさえいられればいいかな」と考えるようになりました。だから大概のことには動じません。「お腹が空いた」とか「眠い」とか、本当にささいなことではよくクヨクヨしていますけど(笑)。