女子の美容効率を上げたいという想いを込めて開発されたフェイスマスク『LuLuLun(ルルルン)』。商品開発の過程で、佐藤さん自身も美に対する意識の変化や、発見があったそうです。後編では、そんな佐藤さんのキャリアと美のルーツを伺いました。

製薬会社勤務、ヨガインストラクターを経て見つけたもの

 学生時代は、週に3日はジムに通うような女子大生でした。運動していないと調子が狂うというか。ヨガやダンスなど、もともと体を動かすことが好きでしたね。私にとって「美と健康」が仕事をする上で欠かせないキーワードなのですが、キャリアを重ねるごとにこの価値観ができあがってきたように思います。

 新卒で、製薬会社に入社しました。弟が生まれたときから病気を患っていたので、「ただ生きる」のではなく、「健康に生きる」ことが重要だという思いがありました。その後、ヨガのインストラクターに転職したときは、通っている生徒さんたちを見ながら、「健康に生きる」だけでなく、「心も体も美しく生きる」ことをみんなが求めているんだな、と感じたんです。そこから「美しさ」についても意識するようになりました。

 グライド・エンタープライズはもともと広告代理店が前身になっているのですが、会社が主催したヨガのイベントで私がヨガの先生のアシスタントとして携わったことがきっかけで出会いました。PRのイベントを体験し、「こんな仕事もあるんだ」と興味を抱いたときに、設立メンバーとして声をかけてもらったんです。

震災で「美」の捉え方が変わった

 化粧品のPRを始めて3年目のとき、東日本大震災が起きました。私自身は、被災地の方々が大変な中、化粧をすることに違和感を抱いていました。色のついたリップをつけたり髪を巻いたりして、見た目だけをかまう行為が、なんだかばからしく思えてしまって。

 ところが、予想に反して会社が運営していたオンラインショップでは、震災後も商品は売れ続けていました。しかも、被災地の方も化粧品を購入されていたんです。そのとき、美しさは他人のものさしで測るものではなく、自分自身が美しくあろうとする気持ちなんだな、と気が付きました。

 そして、社内では「毎日が大切」という共通の価値観が生まれ、そこから『ルルルン』の企画が持ち上がりました。

 当時オンラインショップで売れていたのは、業務用のフェイスマスク。パッケージもただ銀色のアルミで覆ったようなもの。中身はいいけれど、これはお客様の手元に届いても心をうきうきさせる商品ではありませんでした。

 そこで、『ルルルン』をつくるときは、家にあるとあったかい気持ちになれるパッケージを目指しました。女性はみんながんばっています。でも、「がんばってるね」と言ってくれる人は意外といない。『ルルルン』が1日の終わりに「今日もお疲れさま」と労わる存在になれるよう、パッケージでは顔を表現し、吹き出しで「まいにち生まれ変わりたい。」「ゆっくりはいて、大きくすって。」などのメッセージを入れました。