10キロ分のサンプルを持ち歩き、潤ってもらう

 商品をPRする際は、必ず実際に使ってもらうことを重視しています。肌にのせた瞬間の気持ちよさを感じてもらうために、ミニサイズの『ルルルン』を手のひらにのせて説明することも。実証データも大切ですが、フェイスマスクは感覚的な気持ち良さも重要な商品です。一人でも多くの方の手に渡るように、発売当初は持てる分だけ商品を抱えて出版社などを回っていました。42枚入りの商品が1つ約500グラムなので、2種類用意するとこれだけで1キロを超える。5人の方とアポがあれば、最低5キロ。偶然ご紹介いただいた方にも配れるように、いつも余分に持っていました。10キロ分を持ち歩くこともしばしば。学生時代から運動をしていてよかったと思いましたね(笑)。

 実際に使っていただくと「いいね」とおっしゃってくださる方が多く、オンラインショップだけの販売が実店舗でも取り扱ってもらえるようになり、売上が大幅に伸びました。

特別に作った「ミニサイズ」。化粧を落とさずにフェイスマスクを体験できるよう、手の甲につけられるサイズにした
特別に作った「ミニサイズ」。化粧を落とさずにフェイスマスクを体験できるよう、手の甲につけられるサイズにした

何事も選択するのは自分

 会社のメンバーが、とにかく諦めない人ばかりなんです。「これでいいや」と切り上げてしまうことがない。『ルルルン』をつくるときも、「まだできることがあるでしょ?」「今できるでしょ?」と。そんな熱いメンバーの仲間になるためには、私自身が変わるしかない。「周りがそうだから……」と無理に合わせていてはつらくなってしまうので、何事も自分で選び取り、自分の意思で変わるんだ、とポジティブに考えるようになりました。

 原料選びも、「私は理系じゃないからわからない」と諦めずに、詳しい人に聞きに行って、自分のわかる範囲を広げました。たとえ同じ状況でも、自分で選び取っているという感覚を持つことで、周囲の対応や環境も変わることを実感しましたね。

文/李梨愛 写真/洞澤佐智子

佐藤すみれ(さとう・すみれ)

株式会社グライド・エンタープライズ 取締役。外資系製薬会社勤務、ヨガインストラクターを経て、2009年に入社。2011年に商品開発とPRを担当した「フェイスマスク ルルルン」は、「普段使いできるフェイスマスク」というコンセプトが人気を博し、累計販売枚数3億枚を突破。現在は海外窓口も担当している。

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