30代で周囲のライフステージにも変化が

 制作現場には、「若いから」「女性だから」という意識は良くも悪くもまったくありません。言い訳や甘えは許されない環境ですが、その分、仕事ができるかどうかだけで判断してもらえる。はっきりしていて私には居心地がいいですね。気が付くとプライベートの時間にもよく仕事のことを考えていますが、私にとってはそれが日常であり、普通のことなんです。

 中学や高校時代の同級生と会うと、なおさら自分の働き方が偏っていることに気づきますね。そもそもプライベートを豊かに過ごすことが世の中のスタンダードになりつつありますし、同世代の友人も、結婚・出産・育児など、それぞれが異なるライフステージに立っていますから、昔のように何でも共感できるわけじゃない。産休中だったり、子育て中だったりする友人たちに、私の働き方に共感してもらおうとは思いません。そこは新たなステージに移った友人たちの話を聞く方に徹しています。

 みんな仕事とプライベートのバランスのとり方がうまくて、そんな器用さをうらやましく思うこともあります。でも、苦しいことがあっても、やっぱり私は今の仕事が好きだし、他の仕事では同じような楽しみを見出せない自信があるんですね。これほどラジオの仕事に傾倒しているのは、未練というか、執着しているからだと思います。20代のときに心身ともに潰れてしまって、一度現場を離れた経験があるからです。

文/李梨愛 写真/品田裕美

近藤夏紀(こんどう・なつき)

TBSラジオ ディレクター・プロデューサー。2006年入社。ニュース担当で1年間、各種“街ネタ”から地震現場などを取材、リポート。その後、番組制作に異動となり、「荒川強啓デイ・キャッチ!」「ライムスター宇多丸のウィークエンドシャッフル」「大沢悠里のゆうゆうワイド」「ザ・トップ5」をはじめ、さまざまな番組でディレクター・プロデューサーを担当。

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