できるだけ先回りをする 世話焼きな「お母さん」

 「あらせ」にはたくさんの観測機器が搭載されていたので、各開発者に次から次へとさまざまな依頼をしなければなりません。相手は大学の教授だったり、立場や年齢、キャリアが上の方ばかり。最初のうちは恐る恐る依頼していたのですが、どうやら私は物おじしていないように見えるらしく、むしろ厚かましいキャラクターとして認識されていたみたいでした。

 それなら遠慮なくコミュニケーションを取ってみようかな、と気持ちを切り替えたら、だんだん慣れていきましたね。

プロジェクトの担当になった当時、小川さんは20代後半でした
プロジェクトの担当になった当時、小川さんは20代後半でした

 年単位のプロジェクトなので、やりとりを重ねるうちに、機器の特徴や、開発者の人柄が分かってきます。

 そうすると、機器ごとの注意すべきポイントや、「今回はこの人はデータの提出がぎりぎりになりそうだな」といった相手の傾向もなんとなく見えてくるんです。遅れそうな人の試験はあらかじめ少し遅めに計画するなど、事前にリスクヘッジするようになりました。また、確認に出す前に、私が分かる範囲で事前チェックや修正もするようにしていました。

 こうした動き方から「世話焼きのお母さん」みたいなポジションになっていき、「プロジェクトマザー」と呼ばれたりもしました。一番下っ端なのに「お母さん」なんて、ちょっと嫌なんですが……(笑)。