アプリ収益化プラットフォーム「Metaps」をはじめ、検索エンジン、ソーシャルメディア、Eコマースなどのマーケティング分野を中心に事業を展開し、2015年8月に上場し、急成長を遂げているメタップスで、広報を担当するのは鈴木聡子さん。「働き方」に興味を持ち、大手からベンチャーまで、多種多様な職場で営業経験を積んだ鈴木さんは、なぜ広報へキャリアチェンジしたのか。広報という仕事の面白さや、新たな一歩を踏み出すまでの道のりについて伺いました

得意なことは人が見てくれている

 広報にキャリアチェンジしたのは、28歳のときです。もともと知人だった代表の佐藤が、「うちで広報をやらないか」と連絡をくれたことがきっかけでした。営業としてキャリアを積んできたので「なぜ、私が広報に?」と思ったのですが、外から私ってどう見えているんだろう、広報に向いていると思った理由は何だろう、と気になり話を聞きに行ったんです。

 すると佐藤が、「聡子さんは、人を巻き込んで仕事をする力に長けている、人をマッチングさせるのも、世の中の流れを見るのも得意でしょう」と。「メタップスのメンバーは独立心が高く、個性が強い。今まではそれで良かったけど、組織が大きくなるにつれてチームとして統率を取るのが難しくなってきた。だから、必要なのは、世の中の流れを見て会社としての方向性の出し方を考えてくれる人。かつ、お節介な人。それ、得意だよね?」と言われて。その言葉で、自分では気づかなかったけれど、人から自分はそういう風に見えているんだ、自分を活かせる分野がここにもあるんだ、と知ることができて素直に嬉しかったですね。

「1 対 N」にアプローチできるのが広報の強み

 それまでは、私の特性を生かせる職種は営業だけだと思っていたんです。「広報はお金を生まない仕事」と思って食わず嫌いをしていた時期もありました。一方で、営業職の限界も感じていました。営業が一度に会える人数は限られていて、どんなにがんばっても、「1 対 数人」なんですよ。特に前職は創業したてのまだ名も通っていないベンチャー企業だったので、商談が1時間だとして、最初の10分くらいは会社紹介で終わっちゃうなんてことがよくありました。貴重な商談時間の6分の1を使ってしまうわけです。会社のビジョンや特徴が広く認知されていたら、この時間をもっと有効活用できる。そう考えると、「1 対 N(大勢)」で発信できる広報はすごく価値があるかもしれないと思いました。

 そんな時期に「向いている」と声をかけてもらえたのだから、“広報”という職にちゃんと向き合ってみよう、調べてみようと思いました。そこで、広報として活躍している3人の女性に連絡をとり、話を聞かせてもらったんです。3人とも広報の世界では有名な方で、1人はサイバーエージェントの上村嗣美さん。もう1人はビズリーチに創立期から携わっている田澤玲子さん。そして3人目がクックパッドの知名度を上げ、今はサザビーリーグの広報をされている櫻井友希代さんです。皆さん私よりも年上で、結婚されていたり、お子さんがいらっしゃったりと、女性としてのキャリアステージも違う。そんな方々から、広報から見える世界や、仕事の面白さなどを教えていただきました。