女性初の執行役員になったことで、女性社員からキャリアの相談を受ける機会も増えたという横山さん。目の前の仕事に猛進してきたこれまでと違って、より広い視野で社内を見るようになりました。そこで感じたのは、「もっと人に頼ってほしい」ということでした。

マイルールを設けるのは好きじゃない

 私が執行役員になって感じたのは、「女子、頑張りすぎ」です。全部ひとりでやる必要はないのに、責任感から抱え込んでしまっている女性がすごく多い。苦手なところは得意な人に任せて、自分ができるところで貢献すればいいと思うんです。

 真面目で誠実な女性ほど、「こうでなくては」とか「自分がやらなくちゃ」という気持ちが強いのでしょうね。私は、あまり自分にルールを設けることが好きではありません。「こうすべき」というマイルールを設けてしまうと、それに縛られてしまう気がするからです。年齢や状況によって、課題や目標も変わってくるものです。“私は何のために仕事をするのか”という点だけをはっきりさせておけば、そんなにブレることもない。あまり決めごとを作らないほうが自由な発想ができるし、自分もラクでいられるんじゃないかなと思います。

 というのも、モバイルゲームのプロデューサーになった当初、「私がまとめていかなくちゃ」という焦りから、余裕をなくしていたことがありました。そんな時、ある先輩から「得意な人に任せてみたら?」と言われ、「それでもいいんだ…!」と気持ちがラクになりました。確かに、現場にはそれぞれのプロフェッショナルがいるし、いなければ部署をこえて探せばいい。私の役割は、サービスを成長させ、成果を上げることです。そのためには、いろんな人のスキルを借りたほうが面白いものになると気づきました。

 実際、得意な人にどんどんお願いするスタイルに変えたら、プロジェクトもうまく回りだして、業績も上がりました。今では、“こんなに任せていいのかな”と思うくらい、みんなに頼っています。

適任者を見つけたら、放任主義です

 チーム全員のスキルを全て把握するのは困難なので、まずは周りの人に聞きながら、いろんな人を経由して部内外問わず探していきます。その場合も、「誰かいい人いませんか?」ではなかなか見つからないので、“このプロジェクトには何が足りないのか?”“どんな力が必要か?”を事前に明確にした上で尋ねるようにします。「こういう絵が描ける人」とか「こういう経験のある人」など、できるだけイメージを具体的に伝えると、不思議とわらしべ長者のように人を紹介してもらえるんです。

 誰かにお願いするときは、感謝と尊敬の気持ちを忘れないこと、頼むからには自分もしっかり動くこと。みんなの力を借りまくる分、自分にできるお返しはしっかりしていくことを大事にしています。私にできるお返しは、成果を出すこと。それさえ自分のなかに軸として持っていれば、遠慮せずにどんどん聞くことができるんじゃないかなと思います。

 そして、お任せする以上は、信頼して任せきります。ある意味、放任主義かもしれません。進捗は確認するけれど、あまり口出しはしない。成果がでたら、お礼の気持ちを極力伝えるように心がけています。