3カ月後から徐々に復帰、来年4月に完全復帰

 部長やマネージャークラスの女性も多く、出産・育児のための制度も充実させています。具体的には、育児休暇は1歳半まで、時短勤務は小学校就学まで、託児所や病後児保育の補助、有給の子どもの看護休暇(年2日まで)、早期復職者への給料の支払い(産後10カ月までに復帰すると給料2カ月分を支給)などがあります。

 また、この8月から、「サブステ(役職代理)制度」というものを新設しました。サブステとは、サブスティテュートの略なのですが、産休や介護などでリーダーの長期休暇のため空いたポジションを、代理で部下に任せる制度です。リーダーが長期休暇を取ることで起こる組織の混乱を防ぐと同時に、部下を育成する機会として前向きにとらえ、積極的に採用したいと思っています。いまだ、女性は昇進や昇格に消極的というデータもありますし、部下の意欲向上につながればいいなとも考えています。

 さらに、「ママランチ会」と称して、四半期ごとにママ社員が情報交換をする場を設けています。どのように時間をやりくりしているのか、子どもをどこに預けたらよいのかといった情報を先輩ママたちに教えてもらっています。社員の平均年齢が28歳と若いので数は多くないのですが、現在、当社には復帰した人も含め、育児中のママ社員が約20人、産休中の女性が9人います。

「長期休暇も、部下を育てる機会として前向きにとらえていきたい」
「長期休暇も、部下を育てる機会として前向きにとらえていきたい」

 私は、来年4月には完全復帰をする予定ですが、まずは3カ月休みをいただいて、そこからは会社と相談しながら徐々に職場復帰を目指したいと考えています。産後の復帰には人によって色々な形があると思います。例えば10カ月しっかり休んで、それから復帰することを選ぶ人もいるでしょう。私の場合は、できるだけ完全に休む期間が短い方が復帰しやすいだろうと考え、このような形になりました。少しずつ復帰すれば、完全復帰までに時間があるので体制を整えることができると思うからです。当社ではこれまでにない働き方になるので、新しいロールモデルを作りたいとも思っています。

 3カ月後、まだ、どのような形で仕事に関わるのかは決まっていませんが、テレワークも一つの働き方だと思っています。導入に向けていろいろと整備を進める必要がありますが、ボルテージは12年に米国に子会社を設立するにあたり、会長、副会長が3年に渡り米国に滞在。そのため、メールのやりとりはもちろん、スカイプでの会議が日常的なコミュニケーション手段でした。こうした経験から、自宅からテレワークにより業務を行うことは十分可能だろうと考えています。

 まだ1カ月ですが、執行役員という立場になったことで、広報の仕事への考え方も変わり、もう少し経営という立場に近づいて、会社全体として何ができるのかを考えるようになりました。今後は、ゲームのイベントに加え、当社初、コンテンツがテーマの舞台なども予定しています。また、社員全員の働き方や、採用・IRにも広報という立場から積極的に関わっていきます。そして、会社のブランディングにより関われればと考えています。

プロフィール
杉原麻裕子(すぎはら・まゆこ)
1976年生まれ。青山学院大学卒業。アパレル会社勤務などを経て2005年総務担当としてボルテージ入社。2010年の同社東証マザーズへの上場に向け2007年より財務担当に。2011年東証一部への市場変更後、広報部を立ち上げ。2016年7月1日執行役員広報担当に就任。

文/大塚千春 写真/清水知恵子