企業の人事・組織戦略・人材関連サービスのための専門イベント「ヒューマンキャピタル2018」が7月4日~6日の3日間、東京国際フォーラム(東京・有楽町)において、日本経済新聞社と日経BP社の主催で行われました。7月4日の「日経WOMAN特別セッション」では、3社のダイバーシティ推進責任者が、取り組みを紹介しました。

 登壇したのは、ジョンソン・エンド・ジョンソン 日本法人グループ 日本カスタマー&ロジスティクスサービス シニアディレクター 荒川朋子さん、住友生命保険 人事部 上席部長代理 ダイバーシティ推進担当 小野寺成子さん、JTB 執行役員 働き方改革・ダイバーシティ推進担当 高崎邦子さんです。

 これらの企業は、日経WOMANが5月に発表した「女性が活躍する会社BEST100 2018」において上位にランクインした企業です。モデレーターは、日経WOMAN編集長の藤川明日香が務めました。

3社のダイバーシティ責任者が登壇し、取り組みを紹介しました
3社のダイバーシティ責任者が登壇し、取り組みを紹介しました

「初の女性社長」「管理職の2割が女性」など成功の秘訣は

 まずは各社による女性活躍推進の取り組みに関する全体像の紹介として、今年の調査で総合ランキング1位となったジョンソン・エンド・ジョンソンの荒川さんが登壇。同社は創業時から多くの女性社員が活躍し、一昨年は日本初の女性社長がビジョンケア カンパニーで誕生しました。現在もさまざまな取り組みによって、その風土が受け継がれているそうです。

 特筆すべき取り組みの一つは、ERGと呼ばれる社員の自主的・自発的な活動グループによる意識改革です。ERGのうちの一つ「WLI(Women's Leadership Inclusion)」というグループは、13年前の発足当初から、女性のリーダーシップの開発を目的に活動を続けてきました。現在は約100名のメンバーによって、女性が長くキャリアを発揮できる環境づくりのための意識改革が進められているそうです。

ジョンソン・エンド・ジョンソン 日本法人グループ 日本カスタマー&ロジスティクスサービス シニアディレクター 荒川朋子さん
ジョンソン・エンド・ジョンソン 日本法人グループ 日本カスタマー&ロジスティクスサービス シニアディレクター 荒川朋子さん

 続いて、総合ランキングで2位となった住友生命保険の小野寺さんが女性活躍推進の取り組みについて話しました。同社は女性の多い営業職に続き、事務職の女性活躍推進を2004年に本格化。まずは専任組織をつくり、ワークライフバランス制度の充実を図ったそうです。さらに全国の支店で女性がグループ長になることを前提に体制を見直し、一般職から業務職(転居を伴う転勤がない総合職)への職種変更要件も緩和しました。

 これらの制度を整えた後に着手したのは、風土改革です。トップメッセージを発信するために全国でフォーラムを開催するなど、大掛かりな仕掛けに取り組みました。その結果、女性管理職の比率は営業職も含め36%まで上昇。現在は男女問わず働きやすい、やりがいのある職場を目指した働き方改革にシフトしているそうです。

 最後に、総合ランキングで3位となったJTBの高崎さんが登壇。2006年に全世界からJTBグループ企業の経営者が集まる会議をしたところ、出席者400名のうち女性はたった4名だったそうです。その状況を見た社長からのトップダウンで、ダイバーシティプロジェクトが始まりました。

 まずは女性社員育成のため社内外で研修を実施し、ダイバーシティマガジンやダイバーシティアワードで成功事例を共有。キャリア形成の後押しも行い、現在女性社員は課長職で41%、部長職で27%、役員で5.7%を占めているそうです。