成功のポイントは「男女が協力して取り組むこと」

 続いて、各社が取り組みの特色を紹介しました。ジョンソン・エンド・ジョンソンの荒川さんは、活動に参加している社員は人材の活用に詳しい人事経験者ではなく、「女性をサポートしたい」という気持ちで集まっており、活動の中心メンバーに男性が4割いることを挙げました。

 また、活動に参加するための入り口を工夫することも大切だそうです。父の日に「将来自分の子どもにどんな環境で働いてほしいか」を考えるイベントを企画したり、将来産休を取りたいと考えている社員に産休取得者がアドバイスをする「産休・出産の会」を開催したり、参加型の活動に身近なトピックを盛り込んでいます。デジタルのコミュニケーションだけではなく、アナログな会話や実践的な対応を大切にしているとのことでした。

 住友生命保険の小野寺さんは、女性社員の活躍にスポットを当てた取り組みから、男女問わず全職員を対象にした働き方改革にシフトしたことがポイントだったと話し、具体的な取り組みを紹介しました。

 就業可能時間の短縮や、20時にパソコンを強制的にシャットダウンするシステムの導入、持ち帰り仕事の防止、会議の削減、在宅勤務の導入など、シンプルで分かりやすい取り組みが多かったそうです。これらの取り組みが成功したのは、トップが意思表示をすることで管理職に重要性が伝わり、組織への浸透が加速したからだったと振り返りました。

住友生命保険 人事部 上席部長代理 ダイバーシティ推進担当 小野寺成子さん
住友生命保険 人事部 上席部長代理 ダイバーシティ推進担当 小野寺成子さん

 続いてJTBの高崎さんは、PDCAをスピーディーに回したことが課題の迅速な解決につながったと話しました。同社ではまず意識調査を行って社員の本音を吸い上げ、グループ会社それぞれで課題を解決する取り組みを実施し、進捗状況の見える化を行いました。

 それによって、全社的な課題が「女性社員に自信を持たせる」「上司の意識を改革する」という二つだったことが判明したそうです。前者の課題に対しては、集合研修で中期ビジョンを書かせ、3年後に同じメンバーを集めてフォロー研修を行いました。一方後者の課題に対しては、部下と上司が共に研修を受ける「イクボスセミナー」を実施したそうです。