働く女性のキャリアとライフスタイルを応援する女性誌『日経WOMAN』(発行:日経BP社)と日本経済新聞社グループの「日経ウーマノミクス・プロジェクト」は、「企業の女性活用度調査」を実施、2018年版「女性が活躍する会社BEST100」をまとめた。過去最多となる570社から得た回答を基に、『日経WOMAN』6月号(5月7日発売)誌上にて総合ランキングBEST100を発表した。同調査は『日経WOMAN』が、1988年の創刊時から不定期で実施しているもので、今回で16回目を迎えた。

 「働きがい」と「働きやすさ」という2つの観点から、企業における女性社員活用の実態を1.管理職登用度 2.女性活躍推進度 3. ワークライフバランス度 4.ダイバーシティ推進度の4つの指標で測定し採点。それらの合計得点を偏差値化して総合スコアとし、総合ランキングを作成した。結果概要は次の通り。 *表示した総合スコアが同じで順位が違う場合は、小数点2位以下で差がある。

『女性が活躍する会社』 総合ランキング BEST10

順位 企業名 総合スコア
1位 ジョンソン・エンド・ジョンソン日本法人グループ 76.8
2位 住友生命保険 76.6
3位 JTB 76.6
4位 パソナグループ 76.5
5位 花王グループ 76.3
6位 セブン&アイ・ホールディングス 76.1
7位 日本アイ・ビー・エム 75.8
8位 イオン 75.7
9位 資生堂 75.3
10位 リクルートグループ 75.2

 今年、総合1位になったのはジョンソン・エンド・ジョンソン日本法人グループ(2017年は総合7位)。性別、年齢、国籍など、あらゆる多様性を尊重する風土があり、社員有志による「Women’s Leadership Initiative」が10年以上にわたり、ダイバーシティ推進活動を継続する。ビジョンケアカンパニー代表取締役として日本法人グループ初の女性が就任するなど、女性リーダーが多数活躍しているのも特徴だ。2位の住友生命保険(2017年総合2位)は、トップダウンで「働き方変革」に注力。パソコンが20時には強制的にシャットダウンされるほか、データを外部に持ち出せないようにし、持ち帰り残業ができない環境に。業務の効率化にも徹底的に取り組んでいる。3位のJTB(2017年総合16位)は、2007年に専任組織を設置。グループ各社にも専任担当を置き、取り組みの見える化や好事例の表彰、情報共有などでグループ横断的に推進活動を進めてきた。今年4月にグループ15社を統合し、新たにダイバーシティ推進・働き方改革担当の女性執行役員を配置した。

 今年はトップ10のスコアの差がわずか1.6ポイントと僅差に。上位企業の特徴として、育児・介護と仕事の両立支援を行う段階は終わり、階層別キャリア研修や管理職研修などの女性活躍推進と、残業時間削減などの働き方改革に注力する企業が目立った。

部門別ランキングも発表

 各企業の“女性活用”の中身をより詳しく分析するため、総合ランキングに加え、4つの「部門別ランキング」も作成した。それぞれの部門の評価ポイントおよび各部門1位~10位の企業は以下の通り。

【管理職登用度】部門

女性役員数、管理職に占める女性の割合を評価。子供を持つ女性管理職の人数もチェック

 1位のJTBは課長職の女性比率41%、部長職は27.1%と女性管理職が多く活躍。メンタリングプログラムや男女共通の選抜研修を実施し、2019年6月までに女性役員比率7%達成を目指す。2位の日本アイ・ビー・エムは「女性幹部候補者のスポンサーシッププログラム」が奏功し、女性役員比率は15.3%に。女性正社員の3割以上が課長相当職に就き、活躍する。

1位 JTB
2位 日本アイ・ビー・エム
3位 ジョンソン・エンド・ジョンソン日本法人グループ
4位 パソナグループ
5位 リクルートグループ
6位 ファイザー
7位 ベネッセコーポレーション
7位 JPホールディングス
9位 セブン&アイ・ホールディングス
10位 高島屋

【女性活躍推進度】部門

女性活用の専任組織の有無や女性社員向けの研修制度などで評価

 1位の日立製作所および日立グループでは全社でダイバーシティ・マネジメントを推進。「日立グループ女性活用度調査」を定期的に実施し、グループ各社も含めて、現状や目標に向けての進捗状況、課題を見える化する取り組みを行っている。同じく1位の三井住友海上火災保険は、女性管理職候補、女性管理職に向けた研修を実施し、女性リーダー育成に注力。管理職向けには多様性を生かすマネジメント術が学べるダイバーシティ・マネジメント研修を行う。

1位 日立製作所
1位 三井住友海上火災保険
3位 大和証券グループ
3位 明治安田生命保険
5位 イオン
6位 SMBC日興証券
7位 損害保険ジャパン日本興亜
8位 セブン&アイ・ホールディングス
9位 日本生命保険
9位 三井住友銀行
9位 あいおいニッセイ同和損害保険
9位 東京海上日動火災保険