小さな積み重ねで自分と信頼関係を結ぶ ポイントは「SMART」

竹之内 成功している人にじっくり話を聞いてみると、実はシンプルに根気よく続けてきた成果だということが分かります。「やり続けたことがあるから、あの人の今があるんだな」というふうに考えてみると、自分も根気よく続けてみようと思うのではないでしょうか。やり続けることで成果がつながらない場合も往々にしてありますが、それまでのプロセスで得た経験や気づきは自己の成長につながっているはずです。続けてみることに関しては、どんなに小さなことでも構いません。

 例えば、朝7時に起きていたのを、6時に起きて朝の時間を有効活用してみようと思ったら、実際にやってみる。きちんと起きられたら「6時に起きられたね」と自分自身を認めてあげる。そういう積み重ねで自分自身との信頼関係ができると自信を持てるようになり、仕事もうまく進めていけると思います

――何かを始めてみたものの、どうしても三日坊主になってしまう人も多くいます。上手に続けていくコツはありますか?

竹之内 普段研修などでもお伝えしているのですが、「チャレンジしたい」「続けていきたい」というものがあったら、「SMART(スマート)」を考えてから始めるようにとアドバイスしています。

SMARTとは、
S「具体的なもの(Specific)」

M「測定できるもの(Measurable)」

A「自分にとって魅力的なもの(Attractive)」

R「現実的なもの(Realistic)」

T「期限を明示する(Time-bound)」
の5つ。

 この五つを明確にしておけば、少し苦手なことでも“好き”になれて、楽しく実践できるようになります。「“好き”は苦手を凌駕する」なんです。

(例)
S TOEIC

M TOEIC550点から700点以上にアップ

A 海外プロジェクトに参加できる、海外転勤につながる

R 講座に通う(または問題集をとく)

T ○月×日のテストを受ける

竹之内 例えば、今TOEIC 550点の人が、「TOEICで700点以上取りたい」と思ったとします。TOEICは“具体的なもの“ですし、700点という“測定できるもの”ですよね。ところが「自分にとって魅力的」という点ではどうでしょうか。「上司に言われたから、700点以上取らなければならない」という話であれば、やる気はなかなか起こらないでしょう。

 ところが、「700点以上取れたら、海外プロジェクトに参加できる」「海外転勤も可能になるかも」などと、“自分にとって魅力的”なことを考えてみたらどうでしょう。やる気がグンと高まるのではないでしょうか。では現実的にどうやって勉強をするのか、講座に通うのか、参考書を買ってくるのか。そして、次の試験日を確認することで、“SMART”の五つすべてがそろいます。

 SMARTで確認することで、確実にモチベーションが上がって続けられると思います。

文/西山美紀 写真/洞澤佐智子