――女性は、さまざまなライフプランの決断にも迫られますね。

小室 今後の人生は長いですから、自分のライフプランを考えておくことも大切ですね。単に行動していないから進まないということがあれば、ぜひアクションを起こしましょう。例えば、「結婚しようとは思っているけれど、特に行動していない」という人は、何か出会うためのアクションを起こしてみる、とか。出産なら年齢的なリミットがありますので、希望があれば、実現に向かってスケジュールを立てることが重要です。「動き始めさえすれば、何かが変わる」ことは、ぜひこの機会に始めてみてほしいです。

――結婚や出産と仕事を両立したいと考えている人は、ロールモデルを探しておくことも大事かもしれませんね。

小室 私もかつて独身時代に、社内でロールモデルだと思っていた女性のご自宅に休日に遊びに行って、子育てすることが思っていた以上に幸せそうだと感じて、急に子どもを持ちたいと強く思ったことがありました。社内では、仕事をしている姿しか見ていないので、家庭の姿が想像できませんでしたが、とても幸せそうに両立をしている。ものすごく衝撃を受けて、家庭を持つのっていいな、子どもを持つって幸せそうだなと、27歳のときに思ったことを覚えています。ロールモデルだと思っている方に、一歩近づいてみることも大切ですね。

――ありがとうございます。最後に、読者にメッセージをお願いします。

小室 「女性活躍」とわざわざ女性に向かって言われると、居心地が悪いと感じる人もいるかもしれません。でも、ぜひ知っておいていただきたいのは、今回の女性活躍推進法は、決して女性のためだけではないということです

 働く女性が増えて、女性たちの収入が増えて、しかも働きながら子どもを産めたら、この社会にどれだけプラスになるかということを知っていただきたいと思います。詳しくは、先月出版した『労働時間革命』に書きましたが、今の出生率でいくと、2100年の日本は、人口は現在の4割に減ってしまいます。ところが、働きながら子育てができる女性が増えると、2100年時点で7割に下げ止まるといわれています。4割か7割かで、世界の中での日本の産業競争力は大きく変わるのですが、それを左右するのは、今まだ団塊ジュニア世代の女性たちが出産期にある、ここ3年なのです。

――人口が4割に減ってしまったら…経済破たんしてしまうかもしれません。

小室 そうです、人口が減り続ける国は、2100年を待たずに経済破綻し、他の国に買われてしまうかもしれません。

 働きながら子育てができる女性が増える社会を、堂々と求めていいですし、社会もしっかり予算を使って体制を変えていく必要がある。それが、日本の生き残り、そして発展につながるという気持ちを持って、多くの女性に輝いていただけたらと思います。

文/西山美紀