日本では、高学歴の女性の離職率の高さが問題になっている。第1子の出産を機に退職する率も非常に高い。こうした問題への取り組みとして、グーグルではテクノロジーを通じて女性の活躍を支援する「Women Will」プロジェクトを立ち上げた。プロジェクト3年目となった今年、グーグルのさらなる取り組みとは?

 政府は「一億総活躍社会」を目標に掲げているが、日本における大卒女性の退職率は74.0%(アメリカは31.0%)。その主な理由として「仕事への不満」「キャリアの見通しが立たない」といった理由が挙げられている(独立行政法人経済産業研究所BBLセミナー・2011年より)。また、「保育園落ちた」のブログが大きな反響を呼んだように、日本では62.1%もの女性が第1子の出産を機に仕事を退職している(国立社会保障・人口問題研究所「第14回出生動向基本調査(夫婦調査)」より)。

 グーグルでは「多様な働き方」を切り口に、テクノロジーを通じて女性の活躍を支援する「Women Will」プロジェクトを2014年に立ち上げた。3年目となった2016年、今までの支援を通じて得られた知見と新しい取り組みについての発表会が行われた。

グーグル専務執行役員CMOアジア太平洋地域マネージングディレクター・岩村水樹さん
グーグル専務執行役員CMOアジア太平洋地域マネージングディレクター・岩村水樹さん

 発表会冒頭で、グーグルの専務執行役員CMO アジア太平洋地域 マネージングディレクター・岩村水樹さんが、Women Willプロジェクトについて説明した。

 「グーグルは、テクノロジーによるイノベーションが人々の生活や世界を幸せにするという大きな可能性を信じています。また、イノベーションを起こすにはダイバーシティ(多様な働き方)が必要不可欠です。この信念のもと、2014年から女性の活躍を支援するWomen Willプロジェクトをアジア全域で立ち上げました」(岩村さん)。

 なぜアジア全域かというと、アジアではまだジェンダーが問題になっているためだという。「例えば、インドなどでは女性がインターネットを閲覧するにも制限があり、情報に自由にアクセスできません」(岩村さん)。

 日本においては、「テクノロジーによる働き方の変革」「女性がいきいきと働き続けられる社会の醸成」という2本の柱を立てて、日本固有の問題に取り組んできたという。「働き方を変えるための複数企業による共同研究プロジェクトとして、『未来の働き方コンソーシアム』『Happy Back To Work』という具体的な取り組みを進めてきました」(岩村さん)。