「面白い」が“お金化”する時代になっている

 信用の基準はシンプルに「面白さ」でいいと思います。ここでいう面白さというのは、ガハハと大笑いさせる面白さではなくて、人をワクワクさせる魅力のようなもの。

 カリスマブロガーの方とかも、そういう魅力でファンを増やしているわけじゃないですか。「面白い」が“お金化”する時代になっているということに、もっとたくさんの人が気づいてほしいと思います。

 これって仕事について考える上でものすごく劇的な変化。昔は「ストレス」をお金に換える時代だったんです。ぎゅうぎゅう詰めの満員電車に揺られて、朝から夜遅くまで仕事をして、上司に怒られ、お客さんに頭を下げて……ってさんざんたまったストレスが給料に換わっていると多くの人が考えてきた。

 それが、今は個人が発信する「面白さ」がダイレクトにお金を生み出す時代になった。「面白さ」の価値は「好き」という気持ちから生み出されるから、とことん「好きなこと」をやり切ったほうがいい。

 カラオケが好きなら、カラオケを歌いまくって、やり過ぎるくらいに極める。ディズニーランドが好き過ぎて話題の芸人もいるように、「好き過ぎる」がブランドになるんですよね。

 ストレスをお金に換える価値観で働いてきた世代の人たちはいい顔しないですよ。「俺たちはこんなに苦労してきたのにけしからん」と怒ってきます。

 でも、完全無視で大丈夫です。だって、僕たちの人生を生きるのは僕たちじゃないですか。自分の人生に責任持って笑って死にたいなら、本当に面白いと思える方向に進んじゃえ! って僕は言いたいですね。

文/宮本恵理子 写真/洞澤佐智子

連載「西野亮廣の これからの話をしよう」の全記事は、日経ウーマンオンライン編集部が編集方針を決定した上でインタビューをもとに書き起こし、西野さんに内容をご確認いただいて公開しております

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