運用をして税金も安くなる「確定拠出年金」

 「貯蓄」だけでなく、「投資」にもチャレンジしたい方は、株式や債券、投資信託等を買うこともできます。ですが、初心者の方がいきなり買うのはちょっと怖いかもしれません。そこでおすすめなのが「確定拠出年金」という制度を使うことです。

 確定拠出年金は、国の公的年金の上乗せ制度の一つです。毎月、一定額を積み立てると同時に金融商品を買って運用します。運用できる商品は、制度への加入のしかたなどによって異なりますが、一般的には定期預金、積立型の保険、投資信託を合わせて20本前後から選べます。

 定期預金は銀行で、保険は保険会社で、投資信託は証券会社や銀行など各金融機関で買うこともできます。しかしこれを確定拠出年金で運用すると、税の優遇を受けられるのが大きなメリットです。

利益が出なくても税の優遇を受けられる

 確定拠出年金で受けられる税の優遇は主に三つあります。一つ目は、積み立てた金額に応じて所得税と住民税が軽減されること。積み立てた金額が年末調整で「小規模企業共済等掛金控除」という所得控除の対象になります。例えば年収400万円の会社員の場合、月1万円を積み立てると年間12万円に対して所得税10%分、住民税10%の、合わせて2万4000円の節税効果があります。これが確定拠出年金に掛金を積み立てるだけで適用されるのはうれしいポイントです※2

 運用で利益が出たら、そこでも優遇されます。これが二つ目のポイントです。確定拠出年金の制度を通して運用した投資信託が値上がりしたとき、定期預金に利子がついたときなどは、通常差し引かれる20.315%の税金がかかりません。

 三つ目のポイントは、受け取るときに一定額までは税金がかからないか、少額で済むことです。確定拠出年金で積み立てて運用した結果は60歳以降に受け取りますが、このとき、「公的年金等控除」や「退職所得控除」という所得税の控除を受けられるためです。

※2 会社員が「企業型」で積み立てる掛金のうち、会社負担分は所得控除の対象になりません。会社が個人へ給与として支給する前に、確定拠出年金の口座に直接お金を入金するため、もともと所得税の対象にならないためです。