リストラなど会社都合なら失業給付は手厚い

 離職票に記載される離職理由は、失業保険をもらう上でとても重要です。これが、どれくらい手当を受け取れるかを左右します。

 基本手当は、勤続年数などに応じて、退職前の給料を日割りした金額のおおよそ50~80%です。これをどれくらいの期間にわたって受け取れるかが、離職理由によって変わります。もし、離職理由が従業員の自己都合なら、受け取れる期間は90日~150日間になります。また、受け取り始めるまでには、ハローワークに離職票を提出してから7日間(待期期間)+3カ月(受給制限期間)かかります。

 これに対して、会社が倒産したり、リストラで解雇されたりした場合には、受け取れる期間が年齢や勤続年数に応じて最大330日になります(※1)。また、そもそも手当を受け取るための要件とされる雇用保険の被保険者期間が、自己都合の場合は1年以上ですが、1年未満であっても受け取ることができます。これは「特定受給資格者」といって、自己都合で退職をした人よりも手厚い内容になっています。倒産や解雇によって、再就職の準備をする十分な時間の余裕がないままに離職を余儀なくされたとみなされ、次の就職に向けて国がより支援するわけです。

 ※1 特定受給資格者及び一部の特定理由離職者の場合

 ですから、勤務先から離職票を受け取ったら、離職理由の欄をしっかり確認しましょう。ここは勤務先と従業員がそれぞれ記入しますが、初めに勤務先が記入した状態で交付されます。勤務先が記載した内容に異議があるときは、その旨も記入できます。離職票には「離職者本人の判断」という欄があり、事業主が選択した離職理由に異議があるかないかを選んで記入します。

 万が一、勤務先の都合でやむなく退職するにもかかわらず、従業員の自己都合で退職するようなことが書かれていたら、勤務先に確認することもできますし、離職票に異議「有り」と記載して提出できます。勤務先と従業員で、離職理由に食い違いがあれば、ハローワークが両者に聞き取りをしたり、資料を確認したりします。この調査に基づいて、最終的にはハローワークが離職理由を判断して、基本手当の支給内容が決まります。