転職先の条件をしっかりチェックして

 冒頭にご紹介した厚生労働省の調査によると、転職した人のうち、20~24歳では64%が、25~29歳では39.9%が前の会社を2年未満で退職したそうです。この水準は他の年齢層よりも高く、若い人のほうが短期間で転職する傾向にあります(※5)

 自分に合った仕事に巡り合うのはなかなか難しいこと。かりに「今の仕事じゃなく、転職したほうが自分の強みを生かせるのでは?」と思うことがあっても、それはおかしなことではないかもしれません。

 ただ、早まるのは禁物です。キャリアが浅いと転職活動でアピールできる強みは限られ、就職には不利です。本当に今転職するべきかどうかは、よく考えたいものです。

 また、本当に転職して今よりも条件がよくなるかどうかも、慎重に見極めましょう。例えば、給与、福利厚生や手当の制度などです。転職先の給与が今より多くても、賞与が少なければ、年収ベースでは今より減収してしまいます。

 あるいは、家賃補助が出るのか、出るならいくら出るのか、何年目まで出るのか? 残業はどれくらいあるのか? 残業手当はどれくらいつくのか? といったことも、会社によって違います。こうした給与以外の条件も含めて、手取り収入がアップするかどうかは、できる限り確認しておくと安心です。

 何より大切なのは、転職したら自分が毎日ハッピーになれるのか? です。それは、収入や待遇が良いかどうかだけではなく、その会社の雰囲気が良いか? だったり、そこにいる自分が、自分の望む姿に近いかどうか? も関わってきます。

 新卒の就職活動をしたときに、就職情報を見てイメージした会社の姿と、実際に就職した今の会社の姿は同じでしょうか? 必ずしも同じではないはずです。これは、転職でも同じこと。転職情報から浮かぶイメージだけで判断せず、転職のエージェントサービスや、転職先の会社で働いている人に話を聞くなどして情報収集してみてはいかがでしょうか。

 転職を考えた際には、ぜひお金のことも含めてじっくり考慮した上で検討してみてくださいね。

※5 厚生労働省「平成27年転職者実態調査

文/加藤梨里 イラスト/とげとげ。