転職前の罪悪感との向き合い方

今の職場が嫌いになったわけではありません。でも、転職したい。ただ、「今の職場の人たちを裏切ってしまう」のではないかと思って、いま一歩踏み出せない状況です。どうしたらいいでしょうか?

答え.「転職そもそもの目的」に立ち返ってみましょう。

 転職する際は、程度に差はあるものの、元の職場の人たちから「裏切者」といった見られ方がされたり、そのことに対する罪悪感を持ってしまったりするものです。「転職の思考法」の本には、こうした転職する人が感じる申し訳なさ、罪悪感、といったところもリアルに描きました。これらは、実は転職という意思決定をする上で、とても重要な要素だと思うのですが、転職ノウハウなどの本にも、なかなか書かれていないところです。

「転職って、今の会社の人に相談もできないし……」 (C)PIXTA
「転職って、今の会社の人に相談もできないし……」 (C)PIXTA

 実際に「先輩にもお世話になったし、後輩たちは大丈夫かな。同期のみんなにどう思われるのかな。今の時期に辞めると職場に迷惑を掛けてしまうな」などと悩んでしまい、あと一歩というところで転職に踏み出せなかった、という人も少なくありません。

 特に男性以上に共感力が高い女性は、自分が辞めた後のことをリアリティーを持って想像できてしまうからこそ、「あれも心配、これも心配」と先回りして心配し、動けなくなってしまう、というところがあるようです。

 そんなときには、この本にも書いた通り、「転職のそもそもの目的に立ち返ること」が大切です。会社というのは、実は、あなたがいなくなっても回っていきます。転職を決意した初心に返り、「自分が大事にしたいものは何だったのか?」を胸に問いかけてみると、今の自分にとって最適な答えが見つかるのではないでしょうか。

文/井上佐保子 写真/小野さやか(北野さん)、PIXTA(イメージ)