新卒入社した会社で感じた違和感

 配属先は銀行、証券など金融業界担当の営業部。営業職とはいえ、既存顧客に対するセールスが中心だったので、厳しい営業ノルマがあったり、リストを元に電話をかけ続けるなどの、ハードな営業活動を強いられるようなことはありませんでした。

 ただ、新入社員ということもあり、始業時間前に職場の準備を行ったり、繁忙期には、23時くらいまで残業が続いたりしたこともありました。忙しくも充実した日々を送っていた翔子さんでしたが、2点、引っかかることがありました。

「私が担当していた仕事はある法律のもとに行っているのですが、法的にはいくつかグレーゾーンのような部分があります。クライアントの要望によっては、そのグレーゾーンの部分をグレーのまま運用せざるを得ないような実態があり、上司や先輩も黙認していたのですが、私はそのことが気になってしかたありませんでした」。

 決して違法ではないものの、大学時代に法律を学んだ翔子さんとしては、どうにも見過ごせないところだったのだそうです。

上司の一言で転職を決意

 もう1つ気になっていたのが、直属の上司の存在でした。人を扱う仕事をしているのにも関わらず、たびたび、人をモノ扱いするような言動があり、そこに違和感を抱いていました。「先輩たちはみなさんいい人でしたし、会社全体の雰囲気もとてもよかったのですが、どうしてもその上司だけは受け入れられなかったのです」

 そして、翔子さんが転職を決意したのも、その上司の一言がきっかけでした。