SNSの広がりで、エージェントを頼らず、知人に会社や仕事を紹介してもらって転職する「紹介転職」が増えてきている。最近の紹介転職の傾向や、紹介転職のメリット、デメリットについて、キャリアアドバイザーの藤井佐和子さんに、お話をうかがった。

今どき「紹介転職」事情

 知り合いの紹介で転職する紹介転職は、以前からありましたが、この数年で増えてきているような印象があります。SNSの広がりで、仕事だけの関係であった個人同士がつながるようになったり、SNSを通じて新たなコミュニティに参加する中で、会社外にも人間関係をつくりやすくなってきたりしたことも一因かと思います。

 友人からの紹介や家族からの紹介など、紹介転職にもいろいろありますが、私自身がよく耳にする紹介転職の成功例は、「転職した元同僚や元上司から誘われるパターン」と、「勉強会や会合、趣味のサークルなどオフタイムの活動に参加する中で声がかかり転職するパターン」の2つです。

 オフタイムの活動などで声がかかるといっても、単に「異業種交流会などで名刺交換をした人に声をかけられた」といったケースではなく、何かの活動を共に行う中で信頼関係を築いた上で、転職の話をもちかけられた、というケースがほとんど。

 どちらのパターンでも、ある程度、働きぶりや、能力、価値観といったところを見極められた上で声がかかっている場合が多いように思います。

「うちに来ない?」と声をかけられて転職をする人が増えています。(C)PIXTA
「うちに来ない?」と声をかけられて転職をする人が増えています。(C)PIXTA

「紹介転職」の何がいい?

 

 紹介転職のメリットは、やはり知っている人がいるという安心感があることと、事前に情報を得ることができるところです。

 社員に知っている人がいれば、その人を通して、会社や仕事内容について、長所も短所も含めたリアルな話を聞くことができますし、相手も自分のことを知っているわけですから、入社してから「こんなはずではなかった」というミスマッチは起こりにくくなります。

 また、紹介者がいることで、選考の際に、ある程度は有利に働くということもあります。会社側にとっても、採用コストをかけずに信頼のおける人を採用できるので、メリットは大きいといえます。