1社は知人から紹介された大手出版社の事務のアルバイト。電話番からコピー取り、簡単なWebサイトの更新など、いわゆる雑用係ではあったが「仕事ができるだけでうれしかった」と話す。

 ただ、比較的年配の編集者が多い職場であったためか、「あまりイキイキとした職場ではなかった」そう。この仕事は週3日の勤務であったため、生活費を稼ぐためにもう1社、Webサイトに記事を書くWebライターの仕事を見つけ、週に3日、小さなWeb制作会社で働いた。「社員、アルバイト含め10名ほどの小さなベンチャーだったのですが、社長がとてもいい人でしたし、企画や文章について話し合ったり、アドバイスをもらったり、活気がある職場で楽しかったですね」

第二新卒でテレビ制作会社に就職

 希望していた出版社とライターの仕事をアルバイトとして体験してみたことで、いくつか見えてきたことがあった。「基本的なことですが、出版社の編集者は文章を書くわけではなく、私がやりたい文章を書く仕事はライターの方だ、ということが、入ってみて初めて分かりました。

 また、掛け持ちで働く中で、私は一度にいろんな仕事をするマルチタスクが得意だ、ということも分かってきて、大きな会社で働くよりは、小さな会社で働くほうが、いろんな仕事をすることができて面白いかもと感じるようになりました」

大手出版社の事務のアルバイトはいわゆる雑用係ではあったけど「仕事ができるだけでうれしかった」 (C) PIXTA
大手出版社の事務のアルバイトはいわゆる雑用係ではあったけど「仕事ができるだけでうれしかった」 (C) PIXTA

 フリーター生活を半年ほど続ける中で、自分の強みや向き不向きを見極め、なにより働くことへの自信を身につけた咲子さんは、第二新卒として就職活動を再開。リクナビで、社員5名ほどの小さなテレビ制作会社を見つけ、応募したところ採用となり、翌年の1月から正社員として働き始めた。

 ライターではなく、映像関係の仕事を選んだのは、「映画も好きだったからです。ライターは後からでもなれそうかな……と思って」との理由だ。また、ここでも社長の人柄の良さが決め手の一つとなった。
 
 「やりがいもあり、現場での仕事は楽しかった」が、仕事は過酷。平日は家に帰ることもままならないほど忙しい毎日を過ごすことになった。

(続く)

文/井上佐保子

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