「転職はしてみたいけど、実際やってみたらどうなんだろう。ほかの人はどうやって転職を決めるんだろう」……。漠然としたイメージを抱えている読者も少なくないはず。ベンチャーのWeb制作会社で働く咲子さんは就職がうまくいかず、社会人生活はフリーターから出発。知り合いを介する「つながり転職」で、今や、正社員で20人もの部下を抱えた管理職に。好きな仕事にたどり着くまでのノウハウが詰まった咲子さんの転職ストーリーをお届けします。

 ベンチャーのWeb制作会社で、文章のライティングやサイト制作の進行管理の仕事を行う咲子さん(仮名、31歳)は、現在の会社に転職して6年目。10名ほどの部下を抱える管理職でもあり、転職者の面接などの採用の仕事も任されるなど、今や会社の中枢メンバーとしてなくてはならない存在となっている。

 「仕事が大好き。働けることがほんとうに嬉しい」と、話す咲子さんだが、実は新卒の就職活動で50社近く受けるも全滅。社会人生活は2社かけもちのフリーターからスタートした。

 咲子さんは、第二新卒としてテレビ制作会社に就職、その後、現在の会社に転職している。転職する際は、エージェントなどを通さず、以前からつながりのあった会社の人から誘われて入社したのだという。

 最近は、SNSを活用し、知り合いや元同僚、元上司などを介して転職する「つながり転職」も増えている。咲子さんは、フリーターからどうやって今の仕事に転職できたのだろうか。咲子さんの転職ストーリーを聞きながら、「つながり転職」を成功させる秘訣も探ってみたい。

就職活動に失敗し、フリーター生活へ

 学生時代から本や映画が大好きだったという咲子さんは、就職活動が始まったとき、漠然と「文章を書く仕事がしたい」と考えていた。そこで、就職活動では出版社を中心に回ってみたものの、結果は出ず、メーカーや金融、サービスなどあらゆる分野の企業に手を広げてみたが、どこからも採用通知は来なかった。

50社近く受けたが全て不採用。落ち込んだけど、東京でバイトをして頑張ることにしました (C)PIXTA
50社近く受けたが全て不採用。落ち込んだけど、東京でバイトをして頑張ることにしました (C)PIXTA

 結局50社近く受けたが全て不採用。「自分はどこからも必要とされていないダメ人間なんだ、と落ち込みました。親からは『実家に帰ってきなさい』と言われたのですが、一人で食べていきたいという気持ちが強く、そのまま東京で頑張ることにしました」。

 アルバイトでもいいから働きたい、そんな一心で、卒業後はフリーターとして、2社掛け持ちで働いた。