アラサーで2回の転職を経験した志穂さん。メーカーに新卒入社し、3年後に「もっと思い切り働きたい」と転職を決意。そして、入社を決めたコンサルティング会社では、体調を壊すほどのハードワークの日々。やりがいはあったものの、「このままでは空っぽになってしまう」という不安から、二度目の転職を考えるように。そんなとき舞い込んできた出向の機会。志穂さんの働き方はどう変わるのか? ノウハウが詰まった志穂さんの転職ストーリーをお届けします(後編)。

■前編 「30歳になるまでにわたしが2回、転職した理由」

 コンサルティング会社に転職して3年。多忙な日々を送る中で官公庁への出向が決まった沢木志穂さん(30)だが、私生活にも大きなできごとがあった。出向が決まる直前に結婚したのだ。夫は仕事にも理解がある人で、志穂さんの体を気遣いつつも応援してくれていた。

新婚なのに、どんどん忙しくなる仕事生活

 しかし、実際に仕事が始まってみると、以前いた部署に輪をかけて忙しかった。担当者が少ないために、昼間は関係各所への連絡や打ち合わせ、夜は資料作成と、一人で何役もこなさなければならず、新婚生活は「家には寝に帰るだけ」という日々だったという。

 「様々な業界で活躍する方々に話を聞けて、仕事は充実していて本当に楽しかったです。ただ、あまりに忙しすぎて、後半は心身ともに疲れ切っていました

仕事は充実していて本当に楽しかった。ただ、あまりに忙しすぎて、心身ともに疲れ切ってしまって……。(C)PIXTA
仕事は充実していて本当に楽しかった。ただ、あまりに忙しすぎて、心身ともに疲れ切ってしまって……。(C)PIXTA

 出向は1年間という期限つきのもので、元いた部署に戻ることになっていたが、出向期間の終わりが近づくにつれ、「またあの忙しい部署に戻ったらもう体がもたないのではないか」という思いが強くなっていき、転職を考えるようになった。

転職活動を始めたら立ち止まってしまった

 思い立ったらすぐ行動に移すタイプの志穂さんは、早速、エージェントのもとを訪れた。「語学力を生かした転職がしたい」と考え、最初に登録したエージェントは、外資系企業やグローバル企業に強いA社だ。

 「期待通り、大手企業のグローバル人事などの案件をいただくことができました」。このエージェントでは、相談担当者が営業職も兼ねており、それぞれが担当企業を抱えているため、「企業の人事採用担当者から得たリアルな情報を持っているところが良かった」という。このエージェントからの紹介で応募し、大手企業の内定も得ることができた。一方で、「30代に入り、結婚もしたのに、また忙しく働きすぎて、体がもたなくなるのではないか」という不安も頭をよぎった。

 そこで、女性に特化した転職エージェントB社にも足を運んでみた。このエージェントでは、「最低限かなえたいものはなんですか?」という質問を受けたので、「体のことや、長く働くことを考え、少しペースを落として仕事をしたい」と答えた。すると、比較的小規模なコンサルティング会社のコンサルタントの求人案件を紹介された。

 「ここで私、悩んでしまったんですよ。この先、わたしはどうしたいんだろう? って。大手企業でグローバルな仕事を手掛けるのはやりがいはありそうだけど、体力的にはきつくなりそう。だからといって、仕事のペースを落とすために、今の会社よりも規模の小さいコンサルティング会社で働くのは、物足りないかもしれない…って」

 悩んで答えが出せないまま、志穂さんは3社目のエージェントC社を訪ねる。「一度、しっかりとカウンセリングを受けてみたいと思って」、キャリアカウンセリングを申し込んでみた