転職がゴールではなく、夢の実現をゴールにする

 単に転職することをゴールにするのではなく、その人の夢の実現をゴールとして、長い目でキャリア設計を行い、目標達成まで伴走するという新しい形の転職エージェントのあり方が評価され、「グッドエージェント賞」を受賞した堀田さん。転職エージェントを始めて4年という堀田さんが、今のように求職者に寄り添う転職支援を行っているのは、なぜなのか。

 もともと、新卒で銀行に就職、法人営業の仕事をしていたが、入行1年目から学生のリクルーティングの担当となり、多くの学生たちの相談に乗るうち、就職活動のノウハウを発信するなど、就職支援事業のようなことをやるようになったという。

 4年目に、大手人材紹介会社のシンガポール現地法人に転職。そこで転職エージェントとして多くの人の就職活動支援に携わるうち、堀田さんは、ある疑問を抱くようになった。

 「転職エージェントは、転職が決まるまでの2~3カ月間、クライアントとの信頼関係を築き、密に連絡を取り合い、支援します。ところが、転職後、その関係は途絶えてしまいます。もちろん、案件を次々とこなしていかなければ、会社としては利益が出ないので仕方ないことですが、僕はなんだか寂しい気がしたんです。転職後も活躍できるように応援したいし、なにかあればまた相談に乗りたいと思ったのです」

 その後、2014年に帰国し、Youth Planetを日本で立ち上げた。堀田さんは、これまで担当したクライアント数十人と、カフェで話をしたり、時には飲みに行くなどして常に連絡を取っている。また、就職活動中の大学生の相談にも乗っているという。

 「海外で働きたい、有名企業で働きたい、憧れの職業に就きたい。いつかこうなったらいいな、と思う夢があってもかなわないのは、それをかなえるための道筋を知らないからです。どんな夢でもそこに至る道筋は必ずあり、それを知って、ひとつひとつステップを上がっていけば、夢に近づいていける。僕はエージェントとして、そうした人の背中を押し、応援してあげられたらと思っています」

 次回は、堀田さんに聞いた「夢をかなえる転職」を実現するための具体的な方法をお伝えする。

文/井上佐保子 写真/PIXTA