年収アップだけを目的に転職すると「ジョブホッパー」になる!?
同じ30代でも、「キャリアアッパー」と「ジョブホッパー」とに分かれてしまうのはなぜでしょうか。その差はキャリアに対する意識の違いにあります。
同じ厚生労働省の調査の中で、年収別に転職を希望する理由を尋ねた調査があります。
調査結果を見ると、転職で収入が上がらない「ジョブホッパー」層では「収入が低い」ことを理由に挙げる人が多く、より収入の高い仕事を求めて転職を繰り返しているにもかかわらず、なぜか収入の高い仕事に就くことができていない、ということが分かります。
一方、収入の高い「キャリアアッパー」層は「収入」よりも「知識や技能を生かした仕事がしたい」という転職理由を挙げる人が多いのですが、結果的には収入も高くなっています。
「ジョブホッパー」層が、年収アップにつながる転職ができない理由はまさにこの点にあります。「知識や技能を生かした仕事がしたい」というキャリアに対する意識が不足しているのです。
「楽そうな仕事だから」「通勤に便利なところだから」「同じような仕事だけど、少しお給料がアップするから」など、目先の利益ばかりを追求した転職を重ねても、自身のスキルや知識を高めることにはつながりません。
長期的なキャリアを見通した転職をしよう
キャリアアップにつながらない転職を繰り返す「ジョブホッパー」層ですが、決してスキルや知識が不足していたり、やる気がない人ばかり、というわけでもないのです。キャリアカウンセリングに訪れる女性たちの中には、「私は常に新しいことをしていたい。今の職場ではもうこれ以上学ぶことが無いから、新しい仕事をしたい」と、次々と職種や業種を変えて転職しようとする人もいます。次々と新しいことを学びたいという意欲があるのは悪いことではありませんが、自分に合った仕事が見つからないでいる20代のうちならともかく、30歳前後の世代には前職のスキルや知識を活かし、さらに磨きをかけていくような転職をおススメします。
せっかく転職を考えるのであれば、やはり「ジョブホッパー」ではなく、「キャリアアッパー」を目指したいもの。そのために大切なのは、将来的にどんな職場でどんな風に仕事をしていきたいのか、自分自身のキャリアのビジョンを持つことです。アラサー女性は、ぜひ長い目で見てキャリアアップにつながるような転職をなさってください。
文/井上佐保子
キャリエーラ代表。キャリアアドバイザー。
カメラメーカー、人材エージェントのコンサルタントを経て、2002年に独立、現在は、女性を対象とした、延べ13000人以上の対面キャリアカウンセリング実施、また、ダイバーシティやキャリアをテーマに企業研修、講演を行う。著書に「あなたには、ずっといてほしいと会社で言われるために、いますぐはじめる45のこと」(ディスカバー・トゥエンティワン)など多数。