「履歴書の自己PR欄や経歴書というと、華々しい業績や資格、特別な体験を書かなくてはいけないと思いがちですが、そんなことはありません。特に事務職の場合、業績が数字で表れるわけではないため、書けることが少なくなってしまう。それなら、自分が仕事の無駄を減らすために行っていることや、周りの人に貢献するために改善したことを書けばよいのです。

 例えば、残業を減らすために書類を電子化した、会議が早く終わるように内容を1枚にまとめて配った、チーム内で仕事のフォローができるように進行具合をこんなふうに共有したなど、個人で取り組んでいること、提案したことなどを記入する。書けることを自らどんどん作っていくわけです」

 現在、働き方改革は、どの企業にとっても大きな課題です。自ら考え、改善や提案ができるということは、大きな武器になるはず。また、「こうした行動を現職でしているうちに、自然と評価が上がり、転職が不要になることも多い」といいます。

 「転職活動はとても孤独な持久戦。でも、取り組むだけでスキルアップにつながります」と錦戸さんはエールを送ります。

不採用は「チャンス」です (C)PIXTA
不採用は「チャンス」です (C)PIXTA

 「転職活動をしていると、だんだん転職することだけが目的となってしまう人が多いのですが、それはとても危険です。不採用もチャンスだと捉えてみませんか。

 本来は、幸せな未来をつかむために、勇気を出して一歩踏み出したはず。ですから、『不採用=ゴールが遠のいた』と考えるのではなく、『なんのために転職をするか、どんな未来を望んでいるかをもう一度振り返る機会が得られた』と捉えることです。手帳など、毎日目にする場所に『転職を始めた理由』を書いておくのもよい方法です。

 深く考え、悩んだ分だけ、納得感のいく転職ができます。不採用に落ち込むのではなく、『不採用にしてくれてありがとう!』と思えばいい。それでもやっぱり落ち込むことがたくさんあるのが転職活動です。落ち込んだ自分に、どうか優しくしてあげてくださいね。よく頑張っていると、いっぱい褒めてあげてくださいな」

文/西尾英子 写真/PIXTA

プロフィール
錦戸かおり
錦戸かおりさん
キャリアカウンセラー。2級キャリア・コンサルティング技能士。国家資格キャリアコンサルタント。正社員の転職を支援するコンサルタントに従事した後、2003年に独立。個人のキャリア・カウンセリングを中心にセミナーや講演、企業での面談を行う。内的キャリア(やりがい、働きがい)重視のカウンセリングを得意とし、長期キャリアのアドバイスが定評。「働く女性が35歳の壁を乗り越えるためのヒント」(河出書房新社)。公式サイト