今、働いている会社が、両立支援が充実していて、結婚、出産後も長く働き続けられそうな環境であれば問題ないが、そうでない場合は、ライフイベント前に転職しておきたいもの。たとえ両立支援が充実している会社であっても、出産後はバックオフィス業務に就く人がほとんどで、これ以上のキャリア発展が見込めない、などの理由で転職を考える人もいるだろう。

 長く働き続けられそうな職場であっても、転職後すぐに産育休に入ってしまうのは、周囲にも迷惑をかけてしまうし、復職後、働く際にも肩身が狭い。「転職して、仕事や職場にも慣れ、周囲の協力が得られるような人間関係と信頼貯金ができるのが3年くらい、と考えると、30歳の3年前=27歳なんです

働き続けたいなら、10年先を見据えて転職すべし

 実際、24~29歳というのは、男女問わず、転職市場においてボリュームゾーンとなっている。だが、「男女とも同じ考え方で転職をしてはいけない」と、水澤氏は指摘する。男性の転職は年収アップやキャリアアップだけを考えていればよく、比較的単純だ。しかし、女性の場合はライフイベント後も働けるかどうか、ということを考えると、年収やキャリア面だけでは決められないところがある。

 「年収400万円だった女性が転職して600万円になったけれども、ハードすぎて2年で辞めてしまった、となったら意味がありません。年収は少ししかアップしなくても、働きやすい職場で育休も取りつつ、10年働き続けられた方がいい。女性には、ぜひ10年後まで考えた上で転職していただきたいですね

 転職を考える人も、考えていない人も、一度立ち止まって、10年後、どのように働いていたいか、自分なりのライフプランを考えてみるといいかもしれない。

【今回はこの方々に話を聞きました】

Shift 代表 水澤直人さん
Shift キャリアコンサルタント 松本恵さん

文/井上佐保子

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