これは仕事に限ったことでなくてもOK。これまでのアルバイト経験や地域活動、PTA活動など、何らかの役割を持って臨んだことがあれば、その経験を当てはめてみましょう。

 しかし、中には業務経験が乏しかったり、こうした方法ではやりづらいと感じる人もいるかもしれません。その場合は、「逆説法」で「やりたいこと」をあぶりだす手も――。

 「人は、『やりたいこと』より『やりたくないこと』から考えるほうがイメージが湧きやすいものです。これだけは嫌と思うものを挙げていけば、自分がやりたい業務や望む環境が見えてきます。自分の中で得意な業務、力を発揮しやすい環境などを把握しておくことで、派遣やエージェントに登録するときにも希望や条件が明確に伝えられ、転職後のミスマッチが防げますよ」

 ただし、転職活動において、転職先の「環境」は未知なるもの。飛び込んでみるまで分からないケースも多いため、まずは「業務」を優先に考えつつ、ある程度、臨機応変に対応できるようにシミュレーションしておくことも大切です。

 「ただし、『どうしても避けたい環境』については、面接でそれとなく聞くことをおススメします。人間関係や飲み会の頻度、チーム体制など、気になることはぶつけてかまいません。もしそれで嫌な顔をされるなら、入社を避けたほうがいいかもしれません。もちろん自分の要求がすべて通るわけではありませんが、不安はできるだけ取り除いておきましょうね」

 次回は、転職の強い味方となる「自分にとっていいキャリアコンサルタントの見極め方」を伝授してもらいます。また、「面接時に聞きたいけれど聞きづらい質問」のぶつけ方については、次々回で解説しますのでお楽しみに!

文/西尾英子 写真/PIXTA

プロフィール
錦戸かおり
錦戸かおりさん
キャリアカウンセラー。2級キャリア・コンサルティング技能士。国家資格キャリアコンサルタント。正社員の転職を支援するコンサルタントに従事した後、2003年に独立。個人のキャリア・カウンセリングを中心にセミナーや講演、企業での面談を行う。内的キャリア(やりがい、働きがい)重視のカウンセリングを得意とし、長期キャリアのアドバイスが定評。「働く女性が35歳の壁を乗り越えるためのヒント」(河出書房新社)。公式サイト