「一番大事なことは、心を強く持つことです。就活と違って、転職活動は孤独な闘い。前職の上司から涙ながらに説得されたり、魅力的なカウンターオファーを受けたりすると、気持ちが折れそうになってしまうこともあると思います。大切なのは、そもそも自分がなぜこの会社から転職しようと思ったのか、初心に帰って、一時の思いに流されず、自分自身で判断をする、ということです」(マイナビ野澤綾子さん)

 どうしても辞めさせてもらえない場合、退職届を提出しさえすれば、法律上は2週間で辞めることができるようになっているが、「それはあくまでも最終手段。今まで築いてきた社会的、人的財産を失ってしまうことにもなりかねないので、最後の最後まで円満退職を目指してほしいです」(エン エージェント磯村舞さん)

きれいに辞めるためにできること

 では、できるだけ円満退職するために、どうすればいいのか。

 入社日が近い場合など、難しい場合もあるが、できる限り「十分な時間を取る」というのが基本だ。

 社内規定で「退職予定日の○日前まで」などと時期が明記されている場合もあるので確認しておこう。遅くとも退職日の1カ月~1カ月半前には退職の意思表示をしておきたい。

 また、できれば、職場の繁忙期やプロジェクトの途中など、引き継ぎや退職手続きが難しそうな時期は外すか、少し余裕を持って早めに伝えるなどの配慮もしたいところだ。

 退職の「意思表示をする順番」も気を付けたい。

 基本的には直属の上司から。同僚や先輩あるいは、直属の上司より上の管理職に先に話すのはNG。また、退職意思を伝えるための面談、相談をもちかける際は、「口頭ではなく、できればメールなど形が残るようにしておくと、引き止めにあった際の証拠にすることができます」(エン エージェント磯村舞さん)とのことだ。

 また、「あまり自分の要望を言い過ぎない」ということも大切だ。

 「引き継ぎが終わらないが、有給休暇は全て消化したい」

 「ボーナスはもらってから辞めたいので、退職日をずらしたい」など、自分の要望を通そうとし過ぎるのも問題。自分の要望を伝えること自体は悪いことではないが、あくまでも良好な関係を保ったまま辞められる範囲にとどめたい。