書類が通らなかった理由
当時、綾さんは25歳。「東京に行くなら今がチャンスかもしれない」。そう思った綾さんは、転職エージェントを訪れます。
そこで出した希望の条件は「東京で、営業以外で、今と同じ位の収入が得られる仕事」。「営業以外」を希望したのは、毎日、自転車で駆け回る営業の仕事に疲れ、少し嫌気がさしていたからだと言います。
ところが、エージェントからは「今までの営業スキルを活かさなければ、東京で同レベルの収入を求めるのは難しい」とあっさり却下されてしまいます。そこで、相談した結果、「営業もやるけれど、営業だけではない仕事」という条件に変更。
すると、条件に合った東京の会社の求人は20-30件見つかり、まずは応募書類、職務経歴書を一斉送信。連絡を待つことにしました。
ところが、待てども待てども、連絡はありません。結局、一社からも面接のオファーは来ませんでした。「何社かは来るだろう、と思っていたので、ショックでしたね」。
いったい何が敗因だったのか?
再度エージェントに相談に訪れたところ、職務経歴書の不備を指摘されます。「営業職への応募なのに、これまでの営業実績について、担当件数は何件だったのか、目標に対して達成率は何パーセントだったのか、といった具体的な数字を一切書いていなかった。採用する側が一番知りたいことを書いてなかったんですよね。応募する前に、書類をエージェントに見てもらっておけば良かったです」
こうして、再度職務経歴書を書き直して応募すると、早速2社から連絡が入り、綾さんは、面接を受けるため、東京へ行くことになりました。
続きは次週。
文/井上佐保子 写真/PIXTA