では、家を買う場合、賃貸で暮らす場合のそれぞれのメリット・デメリットをみてみましょう。

家を買う場合

◆メリット◆
・ローンを返済し終えると、家が自分のものになる。資産になる。
・将来住む場所に困ることがなくなり、家族に財産として残すことができる。
・好きなように改築したりリフォームしたりできる。
・住宅ローン減税制度を利用できる。

 住宅ローン減税とは、ローンを組んで家を購入すると、年末のローンの残高の1%にあたる税金が10年間還ってくる制度です。この制度を受けるには、所得が3000万円以下であることや返済期間が10年以上であること、などの条件があります。会社員の方は、最初の年は自分で確定申告をする必要がありますが、2年目からは勤務先に住宅ローン年末残高証明書を提出すると住宅ローン控除の手続きをやってくれます。

◆デメリット◆
・修繕やリフォーム費用がかかる。
・転勤や転職などで引っ越しをしなければならないときは、売却する手間などがかかる。
・住宅を購入するとき、土地や建物代以外にも諸経費※1がかかる。
・固定資産税や都市計画税などの税金※2がかかる。

※1 印紙税(1000万円~5000万円の金銭消費貸借契約書では1通につき2万円)、登録免許税(新築の場合10万円程度)などで、不動産取得税など合わせると、おおよそ100万円程度かかることがあります。

※2 固定資産税や都市計画税は、土地や建物にかかる税金で、所有する限り支払うことになる税金です(都市計画税は納めなくていい地域もあります)。基準価格は3年ごとに見直され変動し、土地に関しては周辺環境の変化によって価値が上がると、税金が上がります。
 また、相続などで、子供が土地を取得すると、その土地に住んでいなくとも支払わなければなりません。

 家を購入する際に気をつけたいことは、ローンを組むときに無理な借り入れはしないこと。そして繰上げ返済などで、できるだけ早く返し終えること。この2つです。年収や子の数、共働き世帯かどうか、子どもの教育費…などによって異なりますが、返済額は今払っている家賃程度にしましょう。また、ボーナスが多かった!というような臨時収入があれば、どんどん繰り上げ返済をしていきましょう。

賃貸の場合

◆メリット◆
・大きな頭金や諸費用などがいらない。
・固定資産税がかからない。
・その時々の家族構成・収入によって住み替えができる。
・ローン返済がない。
・災害などに遭っても修繕リスクがない。

◆デメリット◆
・賃貸料を払い続けるが、自分のものにならない。資産にならない。
・収入がなくなったときに、家賃が負担になる可能性がある。
・高齢者になったとき、入居できない物件もある。

 賃貸の場合、老後の住まいのことを考えると不安になるかもしれません。家賃負担を抑えるため安い物件に引越しをするという手はありますが、賃貸住宅では収入がないなどの理由で高齢者の入居を断られるケースがあります。政府が「高齢者向け有料賃貸住宅」や「高齢者円滑入居賃貸住宅」などの施策を行っているので、賃貸派の人は、このような公的施策をチェックしておくとよいでしょう。

 次回(8月3日)は最終回。「都会と地方、どう違う?(仮)」をご紹介します。お楽しみに!

文/井戸美枝 イラスト/いいあい 協力/瀧 健