時代は貯蓄から投資へ

 最初にお話しした通り、現在の資産運用は「貯蓄」から「投資」へとシフトしています。銀行へ預けているだけでは利息がほとんどつかないため、個人がリスクをとって「投資」をする必要が生じているのですね。

 確定拠出年金は、個人で運用して(いわゆる「自助努力」)で年金受給額を上乗せし、老後の備えを促すものです。労働人口が減少するなか、国も以前のような社会保障を行う体力がなくなってきていることが背景にあります。

誰でも個人型確定拠出年金

 確定拠出年金は、毎月積み立てるお金を自分の判断で運用していきます。具体的には、金融機関や証券会社などがあらかじめ決めた運用商品の中から、運用する商品を自分で選択します。その選んだ商品の運用次第で、将来もらえる年金は違ってきます。

確定拠出年金の最大のメリット

 それは掛金の全額が所得控除されるということです。つまり所得税が減るのですね。たとえば、所得税、住民税を合わせて20%の税率が課せられている会社員が、月に2万円の掛金を拠出すると、年間24万円の所得控除、つまり24万×20%=4万8000円の節税となります。運用によって得られた利益も非課税ですので、節税をしながら老後の資金を積み立てられることになります。

ただし、注意点も

 まず、株式や投資信託など(リスク資産といいます)を多く購入している場合、運用次第では元本が割れる可能性があります。預貯金や保険商品といった元本が保証されているタイプの商品を取り入れることで値動きによるリスクを少なくできます。

 次に、積み立てた資産は原則として60歳まで受け取ることができません。

 何か不慮の事態で資金不足になった場合も、残高が50万円以下など非常に限られた場合を除きお金を引き出せません。

 ただ、確定拠出年金はあくまでも老後の資金の積み立てが目的ですので、これはメリットといえるかもしれません。したがって、掛け金は無理のない金額に設定した方が良いでしょう(5000円以上、1000円単位で自分で設定できます)。

 もしも、掛け金の支払いが厳しい場合には、年に1度、掛金額の見直しをすることができます。一時的に掛け金を払うことをストップすることも可能です。

◆今後の予定(変更になる場合があります)
第 8回:病気になったら? 事故に遭ったら? 保険は必要?(7月6日)
第 9回:家は買った方がいい? いつ考える?(7月20日)
第10回:都会と地方、どう違う?(8月3日)

 次回(7月6日)は、「病気になったら? 事故に遭ったら? 保険は必要?(仮)」をご紹介します。お楽しみに!

文/井戸美枝 イラスト/いいあい 協力/瀧 健